Dark Ages: Vampire
引き続き第一章「Dark Age」を読む読む。
今回の年代は1230年です。が、約二十五年前の西暦1204年、第四回十字軍によるビザンチン帝都コンスタンティノープル陥落が、時代を画す大事件として扱われています。
これ以前の状況については「Constantinople by Night」に詳しいです。
要は、それまで帝都を三人のメトセラが支配していたんですが、ここが陥落したせいで、この三頭支配体制が崩壊し、最長老を失った東欧と地中海の夜の情勢が一気に混沌化した、ということのようです。
……ちなみに第一章扉のエピソードは、とあるラソンブラ貴族がこの陥落事件のときに氏族に対する反逆行為(要するに逃亡)をしたか否かを巡る裁判の法廷で、我らがルシタ姫が弁護の証言を行う、という場面です。モンカーダ大司教とかもいて、なかなかイヤな雰囲気です(^^
さて、WW本家にあがってたプレビューの頃から明言されていましたが、今回、十三氏族が二つのカテゴリーに分けられています。
▼貴き氏族(High Clan)
ヴァンパイアの貴族階級を構成する氏族。
- ブルハー(まだこのころは哲学戦士;_;)
- カッパドキアン(外界に興味なしんこ)
- ラソンブラ(地中海牛耳って最強状態)
- ツィミーシィ(東欧をがっちり守ってます)
- トレアドール(フランスが根拠地)
- ヴェントルー(ドイツ、イギリスを根城に急激に台頭中)
▼賤しき氏族(Low Clan)
ヴァンパイア社会の平民や異国人など“賤しい奴ら”。
- アサマイト(そもそも西洋人には正体不明)
- セトの信徒(公子の宮廷にもぐりこんだりしている)
- ギャンレル(都市や城塞の外ではこいつらの天下)
- マルカヴィアン(マルカヴィはマルカヴィ)
- ノスフェラトゥ(わりと信心深かったり)
- ラヴノス(さっぱりわけわからん連中)
- トレメール(まだまだ全面包囲状態)
……全体的に「Vampire:The Dark Ages」よりも記述が細かくなって、より実情がとらえやすくなっているように感じています。その分大量なんですけどね(^^;
(備忘録みたいなもんですので読みにくいのは御容赦)
西洋中世を舞台にしているわけですから、当然、ヴァンパイアも夜の封建社会を築いています。これは「V:tDA」のころから変わっていませんが、「DA:V」ではその後のサプリメントによる補完を受けて、もっと突っ込んだ内容で記述されています。
何より、中世の人間たちは夜をたいへん恐れたので、日が落ちたら部屋に入って寝てしまう、だから昼は人間の世界、夜はカイン人の世界なんだ、と明確な記述が入りました(V:tDAではここんとこ曖昧だったです……)たまに二つの世界が衝突すると、悲劇的な結果になるわけです。
……これで「リデンプション」でクリストフたちが大手をふって歩いていた根拠がはっきり説明されましたね(^^;
一方、貴き氏族=貴族、賤しき氏族=平民という区別化が行われたと同時に、貴族内の階位も明示されました。
- 帝王(Monarch):メトセラ。表に出ずに公子戦争を操る。
- 大公(Lord):人間で言う王に相当。いわば“公子の中の公子”。
- 公子(Prince):都市や大所領を支配する君主貴族。公爵や伯爵。
- 男爵(Baron):公子に仕えて前線指揮を行う所領騎士。
- 騎士(Knight):幼童や若輩。公子戦争の最前線で活躍する。
- 賤しき氏族(Low Clans):平民。ただし功績をあげれば騎士に昇格が可能。
この貴族による支配ヒエラルキーと並立して「理」(Roads)の僧侶集団が力を持っています。「王の理」「人の理」「獣の理」「天の理」「罪の理」が主流な理で、これらをカイン人に教授するエキスパートが「灰白僧」(ashen priest)。で、カイン人にとって不可欠な理を教えるかわりに様々な権力を握っているわけですな。
さて、二本柱である貴族と灰白僧以外の派閥の皆さんはこんな感じ:
- アンコニュ(Inconnu):あいかわらず潜伏して監視してます。
- 苦き灰騎士団(Order of Bitter Ashes):聖遺物を守るために東奔西走しているものの、十字軍や公子戦争の余波で衰退中。
- 熱狂党(Furores):貴族支配を嫌う無法者や隠者。都市平民の間に勢力。
- プロメテウス派(Prometheans):「今夜もカルタゴ復活に一歩近づいた!」
- カイン異端派(Cainite Heresy):キリスト教会や灰白僧のあいだに浸透中。
「History of Blood」の項読了。
字面のとおり、カイン人の歴史説明です。カッパドキアンのメトセラ、コンスタンキアが、コンスタンティノープルの三頭体制の一角だったツィミーシィのメトセラ、ドラコンにあてた手紙、という形で記されています。
「なぜカイン人は都市に固執するのか?」そして「なぜカインは都市を捨てたのか?」
この問題提起から、第一の街→第二の街→無数の古代都市→ローマとカルタゴ→コンスタンティノープル、と続くカイン人の慢心と挫折の歴史を語る、という、いっぷう変わった歴史記述です。
末尾の言葉は次のとおり。
「この時代はやがて公子戦争と呼ばれることになるでしょう……
定かならぬ未来が定まる前の、我らの最後のあらがいとして。
終わりはいかようになるのでしょうか……?」
この後、コンスタンキアがジョヴァンニ台頭によってどのような運命をたどるかを想起すると、なかなか含蓄深いものに思えます。