トレメール

第二章「Clans of Caine」のトリを務めるのは、公子戦争の遠因を作ったトレメールの皆さん。彼らがヴァンパイアになって、サウロットを喰らった経緯はたいへん有名なので記述でもさらっと流されています。
(もっとも、サウロット喰らいについては、メトセラや高位の長老以外にはきわめてあいまいにしか知られていないようですが)



「1022年の冷たく曇った夜、この世で最も卓越したヘルメス魔術師のうち八人が、トランシルバニアの隠れ城にある秘密の部屋に集った。不眠不休の準備のせいで、その足はふらつき、目はかすんでいた。長年追い求めた真の不死と無限の力への鍵である“賢者の石”を間違いなく作り出す儀式を完結させるためであった……」

……が、どうもトレメール以下賢者の皆さんは、ヴァンパイアになることでどれくらい大きな苦難に見舞われるか、しっかり把握していなかったようです。
(大トレメール自身はともかく)

ステレオタイプ」のところにも、

 ツィミーシィ:はじめて襲いかかってきたとき、きゃつらが我らのことをなぜ憎むべき敵と見なしたのかわからなかった。今では彼らのことはいやというほどよくわかっている。

……などと書かれていますし、「ヴァンパイア社会の慣習についてもっと学ばねば」などと悠長なことを言っていますし。

公子戦争の時点でも、転化に伴うごたごたは収まっていません。「ダマサレタ!」と思ってる魔術師たちはまだまだいるようですし、七大弟子のうち、エトリウスとゴラトリックスとメアリンダの関係は険悪です。

トレメール派全体で中央集権的に団結しよう、という運動に対して、祭儀所それぞれの自治性を主張する者たちも依然として強盛です。

とはいえ、ともかくもトランシルバニア中心に四面楚歌な状況は全然打開できていないので、四の五の言わずに戦え!というのが現状です。そういうわけで、野心家で神秘に興味があり、戦いに使えそうな輩なら、誰彼かまわず抱擁して投入しています。




なお、大トレメール様は、トランシルバニア・アルプスの山奥にあるケオリス祭儀所でお眠りあそばされております。なんにせよ、分不相応なこたぁするもんじゃあありませんな(つД`)

第二章「Clans of Caine」読了〜。
なんだか二、三、カインの子孫以外がまじっているような気もしましたが、気にしない、ということで(^^;

騎士王族ヴェントルー、黒魔術師トレメール、怪奇暴君ツィミーシィ、暗黒貴顕ラソンブラあたりがこの時代の動力源ぽいですね。こやつらの抗争に他の氏族が独自の目的をもって関わるという形。

次は第三章「The Roads」です。ここはキモだと思われるので、気合い入れて読むことにします。