W:tF Enemy Within

土曜分。

ベイル・ハウンド(アシャフ・ガダル)

不純にして陰険:“見捨てられしもの”を悩ませるワーウルフは“純潔なるもの”だけではない。事実、“月の諸部族”の内部でも癌が育っている。アシャフ・ガダル、すなわちベイル・ハウンドと呼ばれる悪しきものだ。いかなる伝統的な意味においても部族ではないベイル・ハウンドらは、最も野蛮な狼の精霊よりも暗い性質を持つ守護精霊に忠誠を誓っている。

ベイル・ハウンドの言うところによれば、自然は根本的に欠陥を抱えているという。なぜなら、最も暗い感情が、人間の心の中で最も深く、最も強いからだ。有意義で公正な宇宙であれば、ポジティブかつ創造的な感情こそが人間やワーウルフの感じる最も強い感情でなければならない。だが、世界はそうはなっていない。苦痛、激怒、憎悪、欲望の概念精霊たちは、純粋な愛や喜びや慈悲の精霊よりもはるかに多いのだ。ベイル・ハウンドは勝ち組に与そうとしており、それゆえに世界のネガティブな側面を担い、人類の魂が堕落すればそれだけ強さを増していく強大な精霊である、口に出すもはばかられる諸侯らに頭を垂れるのである。

彼らはウラーザの間をひそかに動く。彼らが通り過ぎる場所には、毎年さらなる殺人事件が多発する。さらに多くの人々が自殺する。家族が自壊する。濃密で腐敗した香りが、「屈すのだ」というささやきとともに、彼らの跡にはついてまわるのだ。だが、彼らの忠誠のしるしは彼ら以外には見えない。その冷酷さと下劣さの深淵は、その眼光の強壮さの背後に隠されている。彼らはどこにでもいる可能性がある。