Fireborn ケガレ

 ケガレ(taint)とは、腐敗したカルマのことである。ケガレは、カルマでできた超自然存在にとっては有毒ガスのようなものであり、存在そのものを邪悪と狂気に塗り替える恐るべきエネルギーである。神代、ケガレの蔓延によって多くのドラゴンやティタン、フェイが悪しき狂気に堕ち、種族の滅亡を招いた。ケガレとは文字通り、ドラゴンを滅ぼす不倶戴天の仇敵なのである。
 ケガレがどのようにして生まれるのかは定かではないが、神代滅亡に至るケガレ蔓延の大きな原因が、人間による魔術の行使であった。ドラゴンなどから魔術を教わった人間たちは、それを便利に使って偉大な文明や帝国を築くに至ったが、ここに大きな落とし穴があった。
 ドラゴンら超自然存在にとって、カルマの流れを操る魔術は、人間がしゃべったり歩いたりするのと同じくらい生得的で自然な行いだった。しかし本来、カルマ的な存在ではない人間にとって、カルマを操ることは不自然で至難なワザだったのである。彼らの魔術が失敗したり、不用意なカルマ操作をしたりすることで、周囲のカルマは引き裂かれ、あたかもガン細胞のようにケガレへと変質していった。
 ケガレは、その中にいる生き物たちを邪悪へといざなった。ケガレによって汚染された生き物は怪物と化した。そしてカルマではなくケガレを生み出すようになり、とめどもない悪循環が形成された。
 ドラゴンたちが過ちに気がついた時には、もはや神代世界はケガレに席巻されようとしていた。いまだ正気を保つドラゴンやティタン、フェイたちはこの“有毒ガス”の広がりを食い止めようと必死に戦ったが、それは無惨な敗北に終わった。そして、神代は滅亡したのである。不幸中の幸いなことに、このときケガレもカルマとともにこの世から消え去った。
 21世紀の魔法の復活は、悪しきカルマであるケガレの復活も意味していた。人間の間に魔術の知識が広まるにつれて、再び神代の過ちが繰り返されようとしている。サイオンらは再度の世界滅亡を食い止めなければならない。