スペインの歴史

スペインの歴史

スペインの歴史

 読了。思っていた内容とちょっと違っていたので残念。時系列にそって政治史が社会経済史とまざりながら淡々と叙述されています。加えて、章の合間にはさまるコラムで、重要テーマが論じられています。
 本文はいささか淡泊にすぎて、興味をそそるエピソードには欠けています。まあそれでも、覇権の座から滑り落ちたあとのスペインに関してはまるで知識がなかったので、アスナル政権に至るまでの流れはよくわかりました。他の本だと近代をまるで扱わないですよねー。
 序文でも書かれていましたが、フランコ政権下でのナショナリズム歴史学・教育で常識とされていた事柄に対する再検討、という視点が一貫していて、たとえばナポレオンに対する“独立戦争”という捉え方への批判的意見というあたりとかは、おもしろく読めました。