Quinpolic League*1

 「ごきげんよう、外つ国の方。聖デリアムの祝福と元首の力強き護りが御身を導きますように」
 「古セシュネラ海洋同盟」は、より一般的には「五柱連盟」と呼ばれる都市同盟である。パソス元首国*1を中心とする連盟には五大加盟国がある。アースデン、エガルーン、パソスのマンデー、ノロスウォル(ノロス領)、そしてオラダロス(パイスダロスの首都)である。この連盟には、パソス、ノロス、パイスダロスにある幾多の独立都市も加盟している。
 923年、大閉鎖がセシュネラ(これにはパソスも含まれた)に達した。924年、「見えざる紫水晶の水竜巻」が島々のあらゆる交通網を水没させ、「紫海嘯」が海辺を洗い、「哄笑する塩の大敵ら」を内陸へと送り込んだ。999年、「紫の大津波」が島々と本土を押し流し、破壊と恐怖をまきちらした。その他の荒廃も後に続き、1049年にはルアーサらによってセシュネラの大半が水没した。
 大閉鎖以前、古パソスは単一政体だったが、大閉鎖中には数多くの小元首らが古王国の慣習にのっとった権利を主張した。大開洋以来、彼らは再び統一され、忠誠を要求する専制的なセシュネラ王ギルマーンの主張をはねつけている。パソスの現元首である“薔薇の”ユリアヌス・ポーフェインは、(叔父でもある)ノロス元首アリストンの良き友人であり、二人はパイスダロス伯爵と協力して連盟をつくりあげた。ユリアヌスはアリストンの息子でありノロスの現統治者であるミュリアム・デストーの友であり師である。
 五柱連盟はパソス諸島近海を支配している。また、オーニオールからアロラニート海岸に至るソルカシ海も支配しており、ときにはネレオミ海まで警邏に出る。連盟の軍艦はトリレンミ(三段櫂船)だが、最近、ケタエラの船をまねてクワドレンミ(四段櫂船)も建造されている。連盟の外洋商船は船尾が高く、幅広である。パソス海軍は(ヴォロン島の)マンデーにある根拠地から活動している。ここには重要な造船所と艦隊繋留施設が備わっている。ノロス元首は海軍を(カロンマック島の)港都アースデンに駐留させている。しかしいずれの艦隊も、修理や補給ははるかに小さな港である(ヴァースコリン島の)エガルーンから受けている。パソスの富はノロスのそれには比ぶべくもないが、パソス艦隊のほうが大規模であり、マンデーが連盟最大の都ノロスウォルに匹敵するのもまもなくだろうとユリアヌスは考えている。
 セシュネラ全土がそうであるように、五柱連盟の都市国家に住む人々は、自分の親のカーストのままで一生を送る。漁師と船乗りは普通は農夫カーストで、水兵は兵士カーストである。

*1:Dogedom