2070年まで

 シャドウラン第四版は時代がぴょんと飛んでいるので、その間何があったのかが海外のwikiにまとめられていたので、ちょっと訳してみました。

2052:テクノロジー革新
 2XS、BTLのブーム。
 バイオウェアが大衆市場に出回る。
 シアトル・ティルタンジェル貿易協定が締結され、シアトルがティルタンジェルの主要港となる。
 UCAS大統領アダムスが再選後に死亡し、トーマス・スティール副大統領が跡を継いだ。

2053:新たなグレート・ドラゴン
 ヘスタビーがティルタンジェルの攻撃をしりぞけて、カリフォルニア北部のシャスタ・ダムと周辺地域を掌握。
 Anchoring定理の公刊。
 プロテウス社が日本にアーコブロック(海上アーコロジー)を二基完成。

2054:アトランティス発見
 クレタ島の150マイル沖でアトランティスが発見された。
 ティルタンジェルがクレーター・レイクを閉鎖。

2055:世界友邦会(UB)
 アレス社からの情報提供を受けたUCAS FBIは、昆虫精霊がUBを支配していることを突き止めてこれを解散させたが、その理由は公開されず、経済的な腐敗がカバーストーリーとして公表された。他国も同様の対処を行い、翌年までにUBは完全に解散した。アレス社は地元の巣へ破壊工作を行い、これらは世界友邦会に対する「動機不明のテロ攻撃」事件として広く報道された。
 8月22日:ナイト・エラント・ファイアウォッチのチームが北米最大の昆虫巣窟に攻撃をかけた。予定通りの効果を上げることができず、昆虫精霊の群れが巣から吐き出されてシカゴ市にすみついた。
 8月23日:UCAS政府はシカゴ隔離区域を設置して、シカゴ住民の大半をUCAS陸軍の築いた閉鎖線の中に置いた。閉じこめられた者の中にはシカゴ・マフィアをはじめ他の大規模犯罪組織のシカゴ支部が含まれていた。マフィアはシカゴのドンと接触を断たれ、コミッシオーネは彼は死んだと信じた。これによってシカゴの支配権はジェームズ・オマリーのかつての腹心であったミルウォーキーのドン・レオ・マカスキルに移された。
 シカゴ隔離区域は、公的にはVITAS蔓延に対する防疫措置であると説明された。
 10月初頭:シカゴ隔離区域内にいたナイト・エラント・ファイアウォッチの生き残りは、新たな中核巣窟の中で戦術核弾頭を起爆。爆発と放射線の効果は想定以下にとどまったが、シカゴ市内の事実上全ての昆虫精霊を休眠に陥らせた。

2056:昆虫の年
 2055年12月末〜2056年1月:
シカゴ隔離区域に関する真実が、「バグ・シティ」からのダウンロードを通してシャドウランド、デンバー・データヘイブンなどによって表沙汰になった。UCAS政府はもはや隔離区域に関する隠蔽を続行することができず、全世界は昆虫精霊とそのトーテムが現実のものであることを知った。
 UCAS議会は公式にグレート・ドラゴン「デュンケルツァーン」がUCASの合法的な市民であると認めた。
 11月:トーマス・スティール大統領とジェームズ・ブース副大統領は「21世紀で最も退屈な選挙戦」によって再選を果たした。
 12月〜1月:2056年のUCAS大統領選挙が不正選挙であったことが発覚し、ベティ・ジョー・プリッチャード報道官は選挙は無効であり、再選挙を行うと宣言した。下院は8ヶ月間の短い選挙運動期間を認め、投票日は2057年8月7日木曜日と定められた。

2057:ドラゴンの年
 3月15日:
デュンケルツァーンは歴史的な「竜がしゃべる!」放送で大統領選出馬の意志を表明。
 7月19日:共和党の大統領候補フランクリン・イェーツ将軍がホテルの自室で殺害されているのが発見される。
 4月20日深夜に八大メガコーポレーションの保安が破られ、システムがシャットダウンする。続いて身元不明のデッカーが謎めいたモナリザのネガ画像の背後から脅迫を行った。デッカーは後に「レオナルド」と呼ばれるようになり、天才的なエルフであると噂された。
 8月7日:グレート・ドラゴン「デュンケルツァーン」は僅差で2057年の大統領選挙に勝利宣言。
 8月9日:デュンケルツァーン大統領はウォーターゲート・ホテルを発つ際に大統領専用車で暗殺された。
 8月15日:「デュンケルツァーンの遺言」が公開され、マトリックス内を駆けめぐった。ドラコ財団が創立された。マイルズ・レイニアー(フチ社保安主任)がフチ社を離れてレンラク・コンピューター・システム社の役員会に参加。
 8月20日アーサー・フォーゲルがシエラ社の社長に就任。
 8月22日:ナジャ・ダヴィアーがダミアン・ナイトにガヴィランヴェンチャーズ社(アレス社の株式)における二年間の投票権を提供。
 8月31日東部標準時2:55:23:シャドウランドBBSに「ザ・プレイヤーズ」が管理人キャプテン・ケイオスによってアップロードされる。
 9月12日:ウー・ルン・ウェイがウーシン社の劇的な拡張計画を発表。
 10月:シアトルのビジオ・ファミリーとチャルニエッロ・ファミリーのドンが密かに、「キメラ」という名で知られる殺し屋組織の代表セルゲイ・マレンキンと会談を始める。

2058:ギャングの年
 1月1日:
ドン・ジェームズ・オマリーがシアトルの自宅で「キメラ」の暗殺者に射殺される。
 1月4日:オマリーの葬儀がシアトルで営まれ、メトロプレックスのマフィアの大物が皆参列した。ハンゾー・ショトズミがヤクザの親衛隊とともに現れて、死んだ宿敵に敬意を表し、残りのシアトル・マフィアのボスたちに、ヤクザはオマリーの死に無関係だと表明した。また、ヤクザはマフィアに奪われた縄張りを取り戻す計画を持っていると暗におどしをかけた。
 父親の葬儀の後、ロウェナ・オマリーはフィニガン・ファミリーの指導者と顧問たちに、自分が父親の遺した唯一の後継者としてファミリーとシアトル・マフィアの指導権を握ると宣言。この表明は会合に集まったマフィアたちに非常な動揺をもたらしたが、ロウェナは父親の顧問弁護士アル・カヴァリエリの助力を得てすばやくフィニガン・ファミリーの支持を得た。
 1月5日:ドン・オマリーの死とシアトルでギャング戦争の暗雲が広がったことに触発されて、シャドウランドに暗黒街に関するファイル・コレクションがはじめて投稿された。シャドウランナーたちはシアトル犯罪組織から仕事をもらおうと奔走し始める。
 ロウェナ・オマリーは、シアトルのボスに就任する意志を他のシアトル各ファミリー、およびドン・マカスキルとコミッシオーネに送った。コミッシオーネの内陣はシアトル情勢の責任をマカスキルに委任した。
 シアトル・ギャングの間に、ヤクザが攻撃計画のために兵隊を雇っているという話が流れる。これを受けるギャングもいれば、嫌がるギャングもいた。
 1月7日:ヤクザの兵隊が、シアトルでマフィアが運営する賭博および企業に対してカチコミをかける。ヤクザとマフィアとの間で散発的な戦闘が発生。
 1月8日:ロウェナ・オマリー暗殺未遂。この事件はシアトル・マフィアを掌握して抗争を終わらせるという彼女の決意に油を注ぐだけに終わった。
 2月22日:アレス社は「絶滅作戦」を策定。これはシカゴ隔離区域にすみつく昆虫精霊に対する物理的・魔法的な一大攻撃作戦であった。シカゴの隔離はヘフナー大統領の一般教書演説によって解除された。アレス社はアストラル界で活性化する細菌「FAB Strain III」を使用して、隔離区域内の昆虫精霊を攻撃。不運なことに、Strain IIIの効果対象は昆虫精霊に限られておらず、すべてのアストラル的物体と存在に影響した。シカゴのグール共同体は壊滅した。

2059:企業の年
 月日不明:
コミッシオーネは決断を下し、シアトルのドンの座はモーリス・“屠殺人”・ビジオがロウェナ・オマリーを差し置いて勝ち取った。新たに団結したヤクザ諸家によってマフィアの縄張りが食い荒らされる前に、マフィアの大物たちが介入して決断しなければならなかったのである。しかし、ヤクザは日本の親分から独立するという内部問題も抱えていた。
 1月7日:ヤマテツ社役員会の代表取締役タダマコ・シバノクジが心臓発作に見舞われる。彼の株式の支配権はヤマテツのCEOサル・イワノに委譲。
 2月22日:タダマコ・シバノクジが京都のヤマテツ病院で死去。彼の株式支配権は息子ユリ・シバノクジ(オーク)に返還された。
 5月5日:ヤマテツ社は本社をロシアのウラジオストックに移転することを公表。
 5月16日:ミツハマ社の企業法廷代表のひとりドーサン・アブラコージが京都の自宅で自殺。
 6月6日:フチ社は企業法廷でレンラク社を告発。罪状はマイルズ・レイニアーの内部情報を利用してフチ社の企業秘密を盗んだことであった。24時間以内にこの告発は取り下げられた。レイニアーはレンラク社を離れて、自分が持つレンラク社の四百万株をチューリッヒ・オービタル・ゲマインシャフトバンクに売却した。
 6月16日:レンラク社のナヴロス・チャンダリアが、アブラコージの死によって空席となった企業法廷代表の座に就任。
 7月8日:「パシフィック・プロスペリティ・グループ」が公式に結成。
 7月11日:東京発1118便が、サリシ・シー国境にあるシアトル・レドモンド荒地に墜落。約二百名が死亡し、百名強が負傷。火災は24時間以上この区域で荒れ狂った。
 7月19日:フチ社の企業法廷代表のひとりデビッド・ヘイグがシアトルのレドモンドで死亡しているのが発見された。
 8月15日:ウーシン社のリー・フェンが、ヘイグの死によって空席となった企業法廷代表の座に就任。
 8月22日:ナジャ・ダヴィアーがガヴィランヴェンチャーズ社の保有するアレス社株の支配権を回復。
 9月29日:「ホワイト・マンデー」。東京証券取引所が七十年来最大の下げ幅を記録。
 10月6日:フチ社のリチャード・ヴィラーズがノヴァテク社の創立を宣言。これはフチ社の大部分を獲得するヴィラーズの作戦の一環であった。マイルズ・レイニアーがノヴァテク社の保安担当取締役に任命された。
 10月20日レナード・オーレリアスが自分のアレス株を全てアーサー・フォーゲルに売却。フォーゲルはシエラ社の社長を辞任。後任はゲイリー・グレイ。
 10月27日:レナード・オーレリアスはクロス・アプライド・テクノロジー社の役員会に参加。
 12月15日:アンナ・ヴィラロボスが、ドミンゴチャベスに代わってアズテクノロジー社の企業法廷代表に就任。
 12月19日:レンラク・アーコロジーが、コンピューター・システム上の問題によって無期限に外来者に対して閉鎖された。

2060:AIの年
 2月3日:
レンラク社CEOイナゾー・アネキが無期限の休職。ハルヒコ・ナカダが臨時CEOに就任。
 3月19日:起源不明のウィルスがシアトルのマトリックスRTGを攻撃。RTGにアクセスしていた人々が記憶喪失、精神障害脳死の被害を受ける。この攻撃は11分間続き、説明も痕跡もなく消失した。
 3月26日:ニューデリーの爆弾テロによってレンラク社の企業法廷代表のひとりナヴロス・チャンダリアが死亡。
 4月5日:フチ社のシケイ・ナカトミがチューリッヒ・オービタル・ゲマインシャフトバンクからレンラク社の四百万株を購入。レンラク社はフチ社の大部分を取得し始める。
 4月15日:クロス・アプライド・テクノロジー社のイブ・アキヨンが、チャンダリアの死によって空席となった企業法廷代表の座に就任。
 6月7日:フチ社のコリン・ヤマナは、シアワセ・エンバイロテック社のミツコ・シアワセとの結婚を発表。
 6月14日:シアワセ・コーポレーションはフチ・インダストリアル・エレクトロニクス社の残存部全てを購入。コリン・ヤマナはシアワセ社の取締役に就任。
 6月15日:ニール・ベンソンが、フランチェスコナポリに代わってレンラク社の企業法廷代表に就任。
 7月28日:フチ・インダストリアル・エレクトロニクス社が公式に解散。

新展開(2061年〜2064年)

2061:彗星の年
 1月:
彗星ブーム始まる。
 1月〜9月:「探査レース」第一期。宇宙メガコーポは彗星に最初の探査機を送ろうと競争。探査機はいずれも事故や破壊工作の犠牲となった。
 3月19日:都市全体に渡る停電によって短期間、シアトルRTGが麻痺し、多くのユーザーとホストがオフラインとなり、他のマトリックス機能にも悪影響が出る。
 5月7日:イナゾー・アネキがチベットでの静養から帰還。
 5月:「オーバーウォッチ」と呼ばれるオタク*1・グループと協力して、アネキはレンラク・アーコロジーに侵入し、過去十六ヶ月の間、アーコロジーを閉鎖し続けている違法人工知能を停止するため、配線式の「停止コード」を使用。デウスは破壊されたように見えた。アネキは自殺。匿名のシャドウランナーたちの果たした重要な役割にもかかわらず、閉鎖解除の功績はシャーマン・ファンに公式に帰せられた。
 5月末:イナゾー・アネキの死が公表された。詳細はあいまいに伏せられた。空位となったレンラク社CEOの座を巡って、シャーマン・ファンと臨時CEOハルヒコ・ナカダとが競争。
 8月:台風がフィリピンを壊滅。
 9月:ハレー彗星が肉眼で見えるようになる。
 9月4日:SURGE*2の事件が初めて報道される。「イスラム統一運動」の指導者イブン・エイサ暗殺。
 9月9日:イブン・エリサが蘇生し、「新イスラム聖戦」を宣言。
 9月10日:SURGEが地球全体を席巻し続ける。
 9月12日:SURGEへの恐怖が暴動、襲撃、政情不安に発展。
 10月:SURGEの反動が猛威を振るい、暴動やメタヒューマンへの襲撃が相次ぐ。
 10月27日:地震と火山活動が環太平洋地域全体を揺るがす。死傷者の中には日本の皇室のほぼ全員が含まれた。カリフォルニア湾岸地域が地震で壊滅。六回の火山噴火と一回の地震がフィリピンを壊滅。その他の太平洋沿岸地域も軒並み荒廃した。
 10月29日:日本国会は帝国軍に海外から撤退して災害支援と日本復興にあたるよう命令。
 11月:ハレー彗星が一時的に消失。斉藤将軍が国会の撤退命令を無視して、自派部隊と日本のメガコーポの支援を受けてサンフランシスコで軍事クーデターを実行。斉藤の部隊はすばやくセントラル・ヴァリーに移動してサクラメント他重要拠点を掌握。アレス社が軍隊を動かしてシリコン・バレーを防衛した。
 11月1日:先祖精霊が「死者の帰還」を警告。
 11月27日:天然オリハルコンの鉱脈発見のニュースが「オリハルコン・ラッシュ」を起こす。
 12月2日:地震によって自由都市ロサンゼルスが壊滅。建物が倒壊し、暴動と略奪が街に横行。
 12月8日:プエブロ企業評議会が軍隊を動かしてロサンゼルスと周辺地域を掌握。評議会はロサンゼルス全市民を保護観察下に置くと宣言。
 12月24日:ゴーストウォーカーのアストラル体が「デュンケルツァーンの裂け目」を突破し、続いて精霊の大群が到来。ゴーストウォーカーはデンバーに出現してアズトランのテオカリを破壊し、街を蹂躙。続く数週間、ドラゴンがこの街に対してゲリラ戦を仕掛けた。「ゾンビ」(シェディム)襲来が初めて報告される。続く数週間でさらに多くが報告される。
 12月25日:ゴーストウォーカーは密かにドラコ財団のアイナ・デュプリーとナジャ・ダヴィアー、シルバリーK(ネクサス社)、ライアン・マーキュリー(アセッツ社)と会談。CCMAはアーコロジー事件とグリッド・シャットダウンの事態を受けて新たなマトリックス管理局「グリッド・オーバーウォッチ・ディビジョン」(GOD)を創設。
 1月:CASは死体を蘇生させた魔法使いに賞金をかける。アズトランはデンバー条約を破ってデンバー市内の自社区域に軍隊を進駐。他の区域も軍隊で境界線を防衛。
 1月3日:日本皇室唯一の生き残りである幼児ヤスヒトが世界に公開され、二日後に天皇に即位。
 1月27日:デンバー評議会がゴーストウォーカーと会談。ゴーストウォーカーが街の支配権を掌握。アズトランはデンバーから追放される。CAS軍が侵攻してアズトラン地区を占領。
 2月:天皇は黄泉島に関する勅令を廃止し、メタヒューマンの強制隔離を停止。フィリピン人は日本の占領軍に公然と反旗を翻す。
 2月5日:アズトランおよびアズテクノロジー軍がユカタンでの焦土作戦を開始。
 3月:ハレー彗星が再び肉眼で見えるようになる。
 3月15日:地震津波ユカタン半島を壊滅。アズトランと独立軍との戦いは熾烈を極めた。結果、自然精霊も毒物精霊も公然と全てのものに対して戦争を開始。
 3月〜4月:アレス社はハレー彗星の二回目の通過の際に探査機を着陸し、データを送信。探査機レースの勝者はアレス社となった。
 4月:ハレー彗星が消失。天然オリハルコン鉱脈が全て枯渇。新たな鉱脈は発見されなかった。SURGE事件は急速に減少。
 5月2日〜5日:サリシ・シーとツィムシアンの国境で軍事衝突が発生し、明らかに生物兵器のために数千人が死亡。5日に停戦が約束されたが、7月にはサリシ・シー民兵によって破られた。
 6月:ロフウィルとアイスネ・オークフォレストがティルタンジェル評議会から引退。
 7月:ケベック共和国が、商用に英語使用を許可する試験期間を開始。ティルタンジェルからカリフォルニア自由州北部を守っていたグレート・ドラゴン「ヘスタビー」が、ロフウィルの後任としてティルタンジェル評議会に参加。

第二次マトリックス・クラッシュ(2064年)

2064年
 秋:
レンラク・アーコロジーで破壊を免れた悪性AIのデウスは、ノヴァテク社の新規株式公開(史上最大のマトリックス上のイベントとなる可能性があった)を利用して、自分をマトリックスの神にアップグレードしようと画策した。対抗するAI(メガエラ。デウスの母すなわちプロトタイプと思われる)と、過激派テロ組織と組んだフォーマー・アコライトであるウィンターナイト(ラグナロクを招来しようとしていた)の努力によってこの企みは頓挫したが、その余波によってマトリックスのほぼ全体がクラッシュし、ハードウェアの大損害も伴った。マトリックスへの被害に加えて、多数の人々がしばらくの間マトリックス内に閉じこめられた。多くは生きのこったが、クラッシュ以前にOtakuであった者たちは、自分たちが永続的にマトリックス深層とつながっていることに気づき始めた。こうして最初のテクノマンサーたちが生まれたのである。
 秋:新たなワイヤレス・マトリックスの構築を目指していたトランシス・ニューロネット社とエリカ社は、計画を進めてマトリックス再建の先頭に立った。

 秋:クロス・アプライド・テクノロジー社のCEOであるルシアン・クロスが航空機事故で死亡。ダミアン・ナイト、すなわちアレス社は最大のライバルの大半を素早く掌握した。

 11月2日:致命的なディソナンス・マトリックスというワーム・ウィルスと、ウィンターナイトによる局所的核EMP攻撃を立て続けに受けてマトリックスのほぼ全体が破壊されクラッシュしたことで全世界が麻痺状態に陥った。この事件はノヴァテク社の新規株式公開にあわせて発生した。

 11月3日:「ニュー・レボリューション」のクーデター。「ニュー・レボリューション」という名で知られるグループがUCAS政府をはじめ旧米国内の他政府に対してクーデター未遂を起こした。カイル・ヘフナー大統領とストラッタ国防長官が暗殺された。ナジャ・ダヴィアー副大統領は暗殺を免れた。暫定大統領ジーン・シモンはアンジェラ・コロートン将軍に命じて戒厳令を布告させた。

ワイヤレス世界(2065年〜現在)

2065年
2月12日〜16日:
第二回全世界マトリックス会議が、エジンバラ近郊にあるトランシス社およびエリカ社のシリコン・グレン企業施設で開催された。ノヴァテク社はトランシス・ニューロネット社とエリカ社と合併して新たなメガコーポレーション、ネオネット社となった。

2067年
 クラッシュによって麻痺したユート国はプエブロ企業評議会に吸収された。
 ミツハマ・コンピューター・テクノロジー社は壊滅したツィムシアン国から撤退。サリシ・シー評議会はただちにツィムシアンを保護領と宣言。これによってNAN全体に不穏な空気が流れる。

2068年
 11月6日:
アンジェラ・コロートン将軍がUCAS大統領に選出された。

2069年
 初頭:
サンアンドレアスおよびサンペドロ断層を震源とする大規模な地震が二回発生し、カリフォルニアに史上空前の大破壊をもたらした。カリフォルニア南部の一部とセントラルヴァリーは海面下に沈み、ロサンゼルスや他の沿岸都市は大陸本土から切り離されて島となった。
 斉藤将軍がカリフォルニアから去った。

2070年
 ワイヤレス世界の現在。

*1:いわゆるオタクとは違う。後のテクノマンサーとなる

*2:彗星によるマナ増大現象とそれに伴う魔法的事件