トワイライト・インペリウム第3版:ジョル・ナー大学連合

 頭でっかちな水棲ハイテクノロジスト文明。銀河文明が一回崩壊したのはかなりの部分でこやつらのせい。

ジョル・ナー大学連合 Universities of Jol-Nar

 今日の銀河で使われている大部分の技術機器には、少なくとも1〜2個はジョル・ナー研究機関発祥の部品を含んでいる。ラザックス帝国の最盛期、銀河はジョル・ナーの根本技術と水棲種族ハイラーの知識にもっと依存していた。このジョル・ナーの技術者と技に頼っていたことが、銀河文明の全面崩壊と黄昏戦争に続く暗黒時代への衰退の主因のひとつだった。
 黄昏戦争が始まった頃、ジョル・ナーは大使館を閉めて従業員をひきあげ、独自の侵略戦争を開始した。他の種族の中で、複雑なジョル・ナーの作動原理やバーチャル・コード、化学成分を理解できる者はほんのわずかにすぎなかった。まもなく、基礎的な機器が故障し始め、何百年の間に技術上の故障の連鎖反応が起きていった。破壊的な戦争と相まって、これは広範囲の飢饉、貧困、そして混乱に拍車をかけた。文化、経済、そして最後には戦争兵器が完全に瓦解し、黄昏戦争は急速に終息して、暗黒時代が始まったのである。
 ジョル・ナーもやはり黄昏戦争で荒廃した。他の地域は彼らのテクノロジーに依存したが、ジョル・ナーは他者の収入、保護、天然資源に依存していた。クワン紛争が勃発した後、慢心が高等学匠たちを突然の侵略戦争へと駆り立てた。そして数年の後、ドゥーラク伝染病がジョル・ナー人口の四分の一近くを死に至らしめ、膨大な知識が失われた。ジョル・ナーの攻勢はやがて防戦一方となり、強大なノールがジョル・ナー領域全体の征服をねらっていた。ソーダー星系での決定的な勝利によって、ようやくハイラーは休戦を勝ち得たのである。
 真っ青なサファイアにも似た双子の海洋惑星ジョルとナーがガリアン星の周りをまわっている。海中には水中で呼吸をし、大きすぎる頭部とそれに見合った知性を持つ軟骨生物ハイラーの一大文明がある。ハイラーは「大学」と総称される高等学匠の古い組織によって統治されている。ハイラーの単一指導者である「学長」が、惑星ジョルの深海にあるウン・エスチャ市からハイラーたちを監督している。学長の下で、学生監会議が個々の地方や特定の知識分野をそれぞれ統括している。
 ハイラーはひとつの種族であると見られがちだが、実際にはハイラー種族の中にもいくつかのはっきりしたバリエーションがあり、それらは主に出身地の地理的な位置や海中の深さによって枝分かれしている。ほとんどのハイラーは陸上の大気を呼吸することができ、潜水せずとも数週間生存することができる。しかし、まったく陸上の空気を呼吸できず、惑星外では巨大なタンクに入って移動しなければならない者もいる。この水中生物がどのようにしてテクノロジーの達人となったのかは誰も知らないが、大部分の人々は、ハイラーの大きな大脳部分が、軟骨を持つ鈍重な肉体を環境に適応する上で、肉体的適応ではなく道具の使用へと進化させたのではないかと考えている。
 肉体的な脆弱さとは裏腹に、ハイラーは誇り高い種族であり、ともすれば相手をいらだたせたるほど尊大でもある。破滅的な暗黒時代以来、ハイラーは自分の惑星の天然資源を応用し始めており、今ではジョルとナー両方の藻類やサンゴ類から鉱物や医薬品を抽出している。新時代が近づく中、ハイラーは再びかつて勝ち得ていたはずの権力を得ようと奮闘している。学生監会議はひそかにハイラーこそがラザックスの跡を継いで、新たに統一された銀河を統治し進歩させなければならないと決意している。彼らの答申にしたがって、学長は軍隊を創設し始め、ジョル・ナーの外交官と技術者たちが他の文明の中で、友好的なそぶりを見せながら極秘計画を胸に秘めて大量に現れ始めている。まもなく、学長は帝位を獲得し、銀河は技術進歩と知的達成の時代に入るのである。