トワイライト・インペリウム第3版:レットネブ男爵領

 銀河を破滅させた黄昏戦争勃発の契機をつくった蒼白い相方(主役は地球人)。デューン以来の由緒正しく悪っぽいイメージの男爵ですが、なんだかRQトロウルみたいな趣もあります。

レットネブ男爵領 The Barony of Letnev

 宇宙の暗黒のただ中に、冷たく堅いアーク・プライム星がある。その星系には中心となる星がなく、アーク・プライムが定まった軌道を持っていないことは何千年もの間、科学者たちの謎であり続けている。アーク・プライムは単に宇宙を漂っているにすぎず、レットネブが他の宙域を嫌っているから、致命的な衝突が起こっていないだけなのだ、というのはよく言われるジョークである。レットネブの主衛星ウレン・テラは遠くから見るとまるで明るい恒星のように輝いている一方で、この闇の惑星には茨のとげのように多い軍艦が、ブラックホールに引き寄せられたホタルのように取り巻いている。
 アーク・プライムを訪れる外世界人は、重戦闘機の護衛付きで、ダンレイン・クレーターに向かわせられる。このクレーターの中に、アーク・プライム惑星表面にある唯一の都市である不規則に広がったフェルークがある。フェルークは漆黒の住宅がひしめきあう与圧された街で、工場、倉庫、軍事施設がそびえたっている。アーク・プライムの希薄な大気のせいで、与圧された寒冷なフェルークの建物の外で通常の地表生活を送ることはできない。男爵領はアーク・プライムのなけなしの大気などに用はないため、ろ過されていない汚染物質がレットネブの地下都市や工場から地表に向けて野放図に放出されている。フェルークに向かう旅は、どんな乗り物にも黒い凍った残留物の厚い層を残すだろう。アーク・プライムから戻った宇宙船のことを「煙突掃除人」と呼ぶのは、よく聞かれる商人のスラングである。
 アーク・プライムの地下では、惑星のコアに熱せられながら、男爵が尊大でどう猛なレットネブの民を統率している。地元民以外で、有名な首都「十億の都」ゴズや他に六つあるアーク・プライム地下の大都市を訪れる者はわずかである。レットネブ人がエイオーと呼ぶ灰色の植物性有機物質がアーク・プライム地下のどこでも見つかる。巨大な洞窟ネットワークに酸素を供給しているのがエイオーであり、この植物はレットネブの民からほとんど宗教的ともいえる畏敬と尊崇を受けている。
 知性を持った機械の群れによって何万という水耕キノコ栽培洞窟が運営されているが、レットネブ最大の弱点は、常にその食料、水分、医薬品、必須ビタミンの不足であり続けている。古代のラザックスはこの好戦的な種族を、レットネブの食糧供給と交易を厳しく制限することで掣肘していた。
 ラザックス帝国の時代に、レットネブは帝国に対して二度反乱を起こしていずれも失敗した。彼らの反抗の歴史によって、帝国がアーク・プライムとその住人を絶え間なく監視することが正当化された。薄暮の時代の末期にレットネブがクワン・ワームホールを封鎖したのは、ラザックスによる制裁と監視に対する抗議として始まったのである。だが、クワン紛争が黄昏戦争の火種となり、最終的な帝国の滅亡を招いたのだった。
 ウレン・テラが薄暮の時代末期にレットネブに併合された後、ウレン・テラのコロニーは主にアーク・プライムの住人用の食料を生産供給することに専心した。レットネブと外世界との交易では主に食料品が輸入され、商人たちは金属、武器、そして鋭いサイモック……銀河中の採掘作業で用いられる強靱な水晶……を受け取った。
 男爵は厳格な官僚制度と統制、そして彼の直接支配下に最強かつ最も賢い者たちを集めることのできるエリート軍人文化によって秩序を保っている。蒼白いレットネブは光を嫌い、明るい陽光に照らされる外世界を訪問するときには保護用のヘッドギアをつけることが多い。
 伝説的なレットネブ軍は、そのどう猛さでは遠いクイナラ星のテックラー・ノールのエリート兵士たちくらいしか右に出る者がいない。列強種族の間で新たな野心が目覚め、恒星間商業が復活し、銀河評議会に動きがあったことで、男爵はひそかに覇権へと民を導く準備を進めている。ダズ・エムシエル・ワーカン三世男爵にはひとつの野望がある。それはどんな犠牲を払ってでも皇帝になるということである。

戦略カードのシール

 しのぐさんのところに一案が書いてありましたのでこれでいこうかと。