対決の設定

 Conflict resolution型の解決方法を採るHQ2では、プレイヤーの企図に対してナレーターが難易度を決め、互いのダイスロールの結果で、その企図が達成されたかどうかをダイレクトに定めます。この手順を「対決」contestと呼び、大きく分けて三種類があります。しかしそのいずれの場合でも、まずどのような内容の対決にするのかを決める短いディスカッションが重要になります。シンプルなシステムだけに、あいまいに進めてしまうと参加者自身今何をやっているのかあやふやになってしまうからでしょう。
 HQ2はHQ1での反省からか、かなり詳しくCR型での考え方をルルブに載せているので、システムの是非はともかく非常に参考になります。
 本文p.21より抜粋。

対決の設定
 HeroQuestの対決は、他のロールプレイング・ゲームの判定方法よりも抽象的です。単にある行為にあなたがどれだけうまく成功したかを示すのではなく、あなたが目標全体を達成できたかどうかを示すのです。
 対決に参加するプレイヤーとナレーターは、(1)どんなプライズ(ほうび、目標)を争うのか、ということと(2)プライズを得るためにどんな作戦を使うのか、という二点について明確に合意しなければなりません。続いて、脇役がPCに敵対するのであれば、ナレーターは彼らについてもひそかに同じ決定をしておきます。この手順を「対決の設定」と呼びます。

(1)プライズの設定:まずナレーターは、勝ち取ろうとするプライズが何か、あるいはどんな目標を達成したいのか、ということを、参加するプレイヤーにたずねます。

  • これは黄金の杯や銃や札束でいっぱいのアタッシュケースなど、文字通りのプライズ(ほうび)かもしれません。
  • しかしたいていプライズは、ある場所への進入権(宝物庫や秘密計画の入ったデータベース・サーバなど)のような、プライズにたとえられる何かのことです。
  • 何らかのリソースを争奪するのであれば、勝者は議席とか補給線とか協力者の支援といった何かの支配権を獲得します。
  • 戦闘ならば、プライズは相手そのものです。PCは相手を捕獲したり殺したりすることを目指すのです(別の目標を達成する上で敵を無力化しなければならないことも多いでしょう。しかしこの場合、敵を倒すのは作戦であってプライズではありません)。
  • 防衛的な性格のものかもしれません。たとえば、脇役が爆弾を投下したり、国王を暗殺したりといった悪事をはたらくのを防ごうとする、といったように。

 時には、ルールに慣れてきたときに起こりやすいのですが、プレイヤーの回答があいまいだったり、まずプライズが何かを特定することなく、プライズの獲得方法に手順をスキップしてしまったりする事態です。この場合は、はっきりと「きみはこれで何を得たいと望んでいるのか」という質問を投げてください。
 もしいったい何をめぐって争っているのかがわからなくなってしまったら、それはその争いが継続対決にするには些細なことである証拠です。かわりに即時対決や集団即時対決を求めましょう。逆に、あなたが簡単に解決しようとした状況にプレイヤーたちが感情移入してこだわるかもしれません。これは集団継続対決を使って、それに焦点をあて、サスペンスを注ぎ込んだほうがいいというサインです。プレイヤーがゲーム中のイベントに感情を燃やすチャンスをつっぱねてしまわないように!

・作戦の設定:ここで、プレイヤーはどのようにして目標に達成しようとするのかを描写します。使おうとする能力を名指しして、どのように能力を使うのかということを描写します。もしプレイヤーの提案が状況に即して見込みがなさそうに思えたら、ナレーターはその状況をもっとはっきりと描写したり、なぜ提案された作戦がそのゲーム世界でうまくいきそうにないのかを説明したりしましょう。適当な作戦と使用する能力が決まったら、対決の設定は完了です。

・敵/抵抗:対決の設定がプレイヤーの視点から完了したら、ナレーターは(もし敵対するキャラクターやクリーチャーがいるなら)相手の目標が何であるか、あるいは(抽象的あるいは無人格な力による抵抗があるなら)どんな悪い結果が予想されるのかということを決定します。前者の場合、抵抗に能力を用います。ナレーターはこの内容を決めて、使用する際に描写を加える用意をしておきます。

(以上節終了)