キーワード

 HQ2では、能力についての「物理」とか「精神」とか「縁故」といったカテゴリー分けは便宜上のもの以上の意味はないことが、以前の版よりも明示されています。
 このことにも現れていますが、HQ2は全体に、旧版での煩雑さを軽減して、運用方法を例示を多用してわかりやすくしようという努力が認められます。汎用ルールをうたい、グローランサの独特の癖をオプショナルなものに格下げしたのもその一環なんでしょう。
 特に、HWのころからいまいちわかりにくかったキーワードについては、冒頭にコラムが置かれてその使い方が説明されています。
 以下本文p.10より抜粋。

キーワード
 ある種のジャンルでは、特にナレーターが市販の設定資料を利用できるジャンルでは、あなたのキャラクターを一つ以上のキーワードを中心に作成することができるでしょう。キーワードはいわば手札をひとそろいあなたに渡してくれるのです。つまり、あなたは既定のキャラクター・コンセプトを選ぶことで、いくつかの能力を手に入れるのです。その上でそれらを調整していきます。キャラクターにキーワードを入れなければならないというわけではありませんが、入れることで舞台設定とシリーズのテーマに沿ったキャラクターを作りやすくなるでしょう。奇抜な設定やオリジナル設定の場合、豊富に説明がつけられたキーワードから、あなたはその世界について知るべきことを知った上で、好みのタイプのキャラクターをプレイし始めることができます。
 キーワードは、キャラクターが最も得意な専門分野として使うと一番便利です。たとえば、グローランサを舞台にするゲームのキャラクターを作るにあたって、あなたは〈フマクトの近侍戦士〉というキーワードに目をつけました。あなたは自分のキャラクターであるハルマースを、フマクト神を信ずる狡猾な近侍戦士にすることにしました。
 ある種のジャンルでは、キャラクターは複数のキーワードを必要とするかもしれません。すなわち、ひとつは専門分野を、もうひとつは種族や文化を、そして三つめは信仰を、というように。たとえば、オソリエルというキャラクターは、〈テレミック・エフェクチュエイター〉(専門分野)と〈クアンダリ〉(種族)と〈ホンダラキ〉(宗教上の信仰)という三つのキーワードを持っています。
 ここでは、キーワードの扱い方を三つ示します。アプローチの方法を選んで、あなたのシリーズのコンセプトとプレイヤー諸氏の要望とをすりあわせましょう。ある人は長々とした能力リストで創造性を開花させるかもしれませんし、またある人はもっと短いセットから即興で考え出すかもしれません。あるいはあまりにも多くの可能性の前に決断できずにいるかもしれません。

 キーワード・フリー:たとえば現代を舞台としたゲームでは〈税理士〉はわかりやすいキーワードですから、ゲーム中の難局に用いることができるいろいろな能力についてこれ以上詳細に決めておく必要はありません。このアプローチを使えば、詳細なリストを作る手間をはぶけますし、プレイヤーはずらずらと並んだ能力に縛られることなく、自分のコンセプト(〈法廷弁護士〉など)を実現することができます。またこのやり方は、キャラクターの成長があまり重要でない短めのシリーズに向いています。もちろん、範囲が広い能力を〈陪審員に訴える〉といったようなもっと限定された関連能力で補足してもかまいません。
 パッケージ・キーワード:まったく逆の方法として、たとえば大航海時代を舞台とするゲームのナレーターは、キーワードをひとそろいのいろいろな能力を一言で言い表したにすぎないものとして扱うかもしれません(訳注:いろんな能力が入っているパッケージの表題としてのキーワード)。こうした能力をキャラクター作成の間にまとめて成長させてもよいですが、ゲーム中では〈船乗り〉というキーワードが代表している〈マストを登る〉〈カトラスで戦う〉〈早口でののしる〉といった能力は、いっしょに成長させるにはあまりにも関係なさ過ぎると見なされるのです。もちろん、プレイヤーはキーワードを単独の能力として使ってもかまいません。実際の運用上は成長させた分の能力だけをキャラクター・シートに書きとめておくと便利でしょう。
 アンブレラ・キーワード:上記の中間が、キーワードを成長可能な能力であると同時に、もっと内容が限定された能力の集まりであるとして扱う方法です。このアプローチを使えば、キャラクター・シートが混雑することは避けられますし(切り裂きジャックをテーマにしたゲームで、全員が全員、〈ロンドン知識〉の能力をならべておく必要はないでしょう)、専門化を推奨できます。プレイヤーはキーワードの下に、専門に限定した能力を書き込み、元のキーワードからどれだけ向上しているのかも添えておきます。

(アンブレラ型の記述例)

  • ロンドンっ子 15
    • 地元なまり +1
    • やせがまん +2

 設定によっては、いくつものキーワードに列挙できる能力があるでしょう。そのときは、傘になるキーワードをひとつだけ選んでください。
 キーワードについてのアプローチを混ぜて使うと便利なことがあります。グローランサのゲームを行うナレーターの中には、魔術キーワードはアンブレラ型で、文化キーワードはパッケージ型で用いる人がいるかもしれません。

 私としては、今回新たに提案されているアンブレラ型はシャドウランの専門化のような方法なので、使いやすそうなです。HWでずらずらずらずらとキーワード所属の能力を書き連ねていくのは、相当に骨でしたから。