魔道

 HQ2からは、サーターのカルトでもちょくちょく呪文が確実な効果を生み出す道具として用いられるとのことです。神様の気まぐれだけでは日常はまわっていかないということなんですかね。

魔道

 魔道はグローランサのルーンを直接操作する手段である。常に既定の効果を生み出す呪式を学んで執行することができる。魔道は合理的かつ論理的である。魔道の最上級者のみがこの複雑な体系の土台を理解したと主張しているが、それでも、かの神知者のように、彼らのあやまちはおそろしい災いを引き起こす。
 西方の国々では、人々は教会に所属して至上の存在たる“見えざる神”マルキオンののこした聖典を崇敬することを学んでいる。教会の指導者は牧師と呼ばれ、信徒を祝福し、敵を呪詛することで、階級制度にのっとった西方版の共通魔術を提供している。
 ほとんどの西方魔術はこの教会を背景に実践されているが、魔術理論をより積極的かつ野心的に追うようする者がおり、魔道士と呼ばれている。魔道士は魔術の召喚に合理的なアプローチを採り、数多くの独立した魔術系統を形成している。大半はマルキオンを信じているが、教会の階級制度の外側で彼から賜った精髄魔術を追求している。また、聖人教団の信徒もいる。彼らは尊敬される信仰の偉人に範を得ながら呪文をかける。
 思考とつながりの次元である精髄界が魔道の源泉である。魔道の諸学派はその世界の様相と法則を知り、長年にわたって研鑽されてきた論理的な世界観を使って魔法のエネルギーをあやつるのである。

呪文

 呪文はグローランサのあらゆる文化に存在する。呪文は口頭で伝授され、世代を超えて受け継がれる。それは光をともすだけの簡単なものかもしれないし、魔物を地獄に送り返す複雑なものかもしれない。誰でも呪文を学んで使うことができる。読み書きできる必要はなく、一連の言葉とジェスチャーなどの儀式的行動を記憶すればよい。
 呪文はひとつの機能を非常に効果的に実行する。ナレーターは、呪文による試みの描写を裁定するときに、通常よりはるかに厳しく文字通りの意味しか許さないアプローチを採ること。もし呪文によって成し遂げようとする結果が拡大解釈だと思えたら、そうした試みは全く不可能である。しかし、他の体系の魔術とことなり、呪文は常に単独の能力として使用できる。呪文は他の能力と同じように修得し成長させる。
 西方の村落でよくみられる「まじない師」は、呪文を学ぶことだけに集中している人の代表例である。彼らは多数の役に立つ呪文を知っているが、魔道書を読むことはできない。

魔道書

 魔道書は、グローランサの魔術法則を説明し、描写し、分析している聖典や魔法の書物である。西方教会聖典の大半は魔道書だが、それ以外の種類も多数ある。ほとんどの魔道書はひとつのルーンにつながりがある。たとえば、最も有名な魔道書である「不変の書」は法のルーンとつながりがあり、天地創造の法について述べている。魔道の使い手は神秘の真実を、精髄界のパワーをあやつる呪式として理解するよう教えられる。
 魔術キーワードである魔道書能力を修得したり成長させたりするにはヒーロー・ポイント2点が必要である。魔道書との縁故は、自分がそれを読めることを意味するが、当初その理解は非常に限られたものである。呪文の効果は各魔道書の項目に列挙されている。魔道書を獲得したときに、これらの呪文のうち4つを選んで修得済みとする。自分の呪文は、魔道書の能力値を使って単独の能力として使用でき、明らかに超常的な効果で描写しても許される。ただし、神性魔術や精霊魔術とちがって、呪文の用途は非常にはっきりと限定されている。

例:魔道書「顔無き王の主」(安定のルーン) 17
 ・ジョランティに命令する
 ・岩をこねる
 ・石積みを安定させる
 ・岩を割る

例:魔道書「不変の書」(法のルーン) 13
 ・魔物の名前を見破る
 ・魔物の弱点を見破る
 ・魔物に対して不可視になる
 ・魔物に抵抗する

 魔道書の能力値が1W以上になるまではその本の中の新しい呪文を学ぶことはできない。セッション1回につき新たに獲得できる呪文は1つだけである。修得のためには異界に旅して重要な障害を克服しなければならない。
 どんな魔道書であれその能力値を使って異界へ続く門を開くことができる。異界に渡る試みはセッション1回につき1回しか行えず、必ず即時対決を用いる。もし界を渡ることに失敗したり、障害を克服できなかったりしたら、現在のセッション中に新たな呪文を修得するチャンスはもうなくなる。ただしこの方法での呪文修得にはヒーロー・ポイントを支払う必要がない。

徒弟

 独立した学派の魔道士の経歴は徒弟からはじまる。高等教育の学生と同様、彼らはほとんどの時間を講義とノート取りとテキストの精読にあてる。全員が徒弟魔道士であるシリーズはおもしろいかもしれないが、勉強に精を出す徒弟は、もっと自由で足の軽い英雄たちと行動を共にすることが難しい。

達人

 魔道学派の卒業生である達人は、キャラクター作成時につくることができる。長期間の教育を完了しているため、他の作りたてのキャラクターよりもいくらか年齢を重ねている。
 達人は、所属している魔道学派や聖人教団の中心教典である魔道書ひとつを能力値17で持ってゲームをはじめる。この魔道書が自分の聖典である。ゲームの開始時に、自分の魔道書に適した呪文を4つ選んで修得済みとする。
 キャラクター作成時に別の魔道書を追加してもよいが、自分の学派や教団に関係していなければならない。
 卒業は学派への義務のはじまりにすぎない。新たな学術的発見を学派にささげ、他の同僚と分かち合うことを期待される。会員が攻撃されたり挑戦されたりしたら、魔道書を使って守らなければならない。また、さまざまな世俗の義務や資金調達にもたずさわる必要がある。学派には一定の行動規範があるが、これは社会生活上の必要にせまられてのことで、魔道は論理に基づくため、神性魔術等とちがって自分の行動には制約されない。
 敬虔なマルキオン教徒である魔道士は、どんな場合であれ邪悪な神教徒や呪術者の魔術能力を持つことはできない。
 ゲーム中に達人の地位に到達することは、ナレーターが何年ものギャップをまたいで物語を進める場合にかぎられる。この期間中に長々とした徒弟修業を経験することになる。
 牧師(教会での礼拝を取り仕切る)と聖人教団の構成員はルール上、達人と見なされるが、社会上の役割は大きく異なっている。

博士

 いずれかの魔道書の能力値が11W以上に達したら、博士の地位に到達可能になる。1つ以上の重要な障害を克服して、上級の同僚からこの階級を勝ち取らなければならない。達人の地位に付随する特権と代償はそのまま継続する。
 この段階では、他の魔道組織に由来する魔道書を新たな能力として獲得できるようになる。また、異界へ渡る試みには絶対に失敗しない。
 さらに、既存の魔道書の中から新たな呪文を見つけ出すことができる。主題に適した呪文効果を提案して、学派が奉じるマルキオン神学の観点からこれを正当化すること。そして精髄界での旅で1つ以上の危険な障害を克服する。続いて、[非常に難しい]抵抗値に対して魔道書の能力値で対決を行う。勝利すれば、忘れられていた宗教的真実を発掘したことになる。その法悦によって魔法の呪式を完成できる。以降、この呪文を自分で使ったり他人に教えたりすることができるようになる。ほとんどの学派では正会員にのみ新しい呪文を教えるよう指導し、よそ者から秘密を守っている。もし新たな呪文の発掘に失敗したら、現在のセッションの間はもう新たな呪文を獲得することはできない。
 博士として、管理業務と資金調達の義務は増大する。自由奔放な学者といえども定期的に教鞭を執らなければならない。徒弟や達人への模範としての役割は倍増する。こうしたことから、魔道書の能力を欠点として扱うときには、-6以上のマイナス修正を受ける。
 それでも、組織内でたいへんな威信を獲得するため、自分の魔道書の能力値を、達人を威圧したり徒弟をふるえあがらせたりするときの増強に用いることができる。