Blood Over Gold in HQ2計画(1)

 神教、呪術、魔道が混在しているこの地域の魔術をHQ2式に記述してみたいところ。とりあえず自分なりにまとめていきます。

ウェネリア地方の概略

 西のラリオスから東のケタエラをつなぐ陸の通廊地帯がウェネリア地方です。
 北には通行不能なミスラリ山脈が東西に走っていて、その山麓一帯はエルフの大森林「アーストラの森」に覆われていて人間が立ち入ることができません。一方、南は水没した旧スロントス地方の残滓で多島海と化している「嘆きの海」が広がっており、「大閉鎖」のため第二期末から最近に至るまで事実上、地理上の障壁となっていました。
 この南北の障壁にはさまれた地域は、起伏が激しく森で覆われた丘陵地帯であり、流れの急な河川(ソランティ川とニミストール川)が南北に走って渓谷を成しています。この二つの渓谷地域にはオーランス人の一派であるウェネリア人の部族が古くから住みついてきました。また、西のプラロレラ地方から到来したヘラジカのスンチェン人プラロリ族が森林で群をつくって暮らしています。

 12世紀、移動のパワーを奉じるマルキオン教の分派アシャラー教会を信じる英雄、旅人の聖ケスレインがラリオスから陸路、ケタエラに向かう「大いなる旅」を完遂しました。このとき彼に従った西方人の騎士や魔術師らは後に「古ウェネリア街道」と呼ばれるようになる東西縦断の交易ルートに沿って「砦の鎖」を築き、土着のウェネリア人たちを支配下に置きました。続く三百年の間、西方からケタエラに至る唯一のルートをおさえたこのマルキオン教徒の「交易公」たちはこの世の春を謳歌しました。
 しかし1580年、水夫ドーマルが「大閉鎖」を開くすべを見いだして世に広めると、ラリオスからノシェイン川をくだり、ウェネリア西部の港町ハンドラから出航する海上ルートが開拓されました。このため東西陸路の地位が下落し、交易公たちは困窮に陥ったのです。経済基盤を打ち砕かれた交易公は土着民への支配力も失いはじめ、ウェネリア地方は諸部族が相争う乱世に突入しました。
 17世紀初頭現在、ディターリ族のグレイメインに率いられた蛮族の軍勢が、指導者を失った聖王国と激しい戦いを繰り広げるなど物情騒然とする中、交易公家の中には、昔日の栄光を取り戻すため海洋交易に打って出るものいれば、ゆっくりとした滅亡に沈滞しているものもいます。もっとも、海上ルートも安全ではありません。アラタン島に盤踞する海賊たちや、スリーステップ諸島からジェナーテラ沿岸全域をおびやかす“海の狼”、そして人間の再進出を快く思わない魚人たちの勢力が船舶交通を日々おびやかしているからです。

  • その他の勢力
    • 港都ハンドラ:ノシェイン川の河口「新湿原」のただなかに浮かぶ「七つの島の都」。ラリオスでの弾圧を逃れたマルキオン教徒が預言に導かれて、湿原のニュートリングの協力を得て建設しました。建国以来多数のギルドによる集団指導体制を続け、難民の都としての国是を持つため多種多様な人々の寄り合い所帯です。ドーマルの「大開洋」によって一躍地域の稼ぎ頭となりましたが、南のラマーリアや海賊の脅威にさらされています。
    • ラマーリア王:ウェネリア南西部の丘陵地域を支配する暗澹たる魔道王国。旧スロントスの不死の支配者たちが、「呪われしものの教会」が振るうよこしまな魔道を用いて土着民に圧政を敷いています。海を忌避しており、すぐ北で繁栄する港都ハンドラをおびやかしています。
    • 群島の民:群島のうち魚人族に支配されていない島々に暮らす素朴な漁民。「大開洋」によってそれまでの静かな暮らしは打ち破られました。