火星からの復興AAR(2)

前回の記事火星からの復興AAR(1)
 前回言い忘れていましたが、今回は、超光速航法は全宇宙でハイパースペース・ドライブ航法のみという設定にしています。その結果、我が国はごらんのような位置取りに。

………ド辺境ですね。シリウス方面とプロキオン方面の“東西”に一本だけ航路が続いているので、どっちかに拡張できなければ詰みです。これはかなり厳しい未来が待っているかもしれない。

新天地シリウス

 太陽系を飛び立った調査船ヴァガボンド号は、周辺の諸星系を順番に探査していく。

 アルファ・ケンタウリでは、すぐに入植できる大陸型惑星のほか、金属とエネルギーの資源、それに物理学の研究対象が発見された。しかし、バーナード星の向こう側、シリウス星系に望外にすばらしい宝が眠っていた。

 土地タイル24枚という広大な入植可能地を持つ大陸型惑星シリウス第3惑星である。このしらせに科学執政局をはじめ、火星全土が沸き立った。希望の新天地はすぐそこにあったのだ。そして火星執政委員会は、当初予定していたアルファ・ケンタウリ第2惑星ではなく、このシリウス第3惑星を最初の入植地に決定した。

 一方、エリウム星雲と名づけられた航海の難所の中にあるプロキオン星系は、豊富な資源を有していた。シリウス入植を準備するため、建設船が派遣され、最初の前哨基地(Frontier Outpost)が設けられ、採掘が開始された。

ファースト・コンタクト


 2206年12月。シリウスの先にあるサーガス星系(Sargas)で、ヴァガボンド号が未知の異星船を発見した。それまでにもいくつかの宇宙生物には遭遇していたが、はっきりと知的生命体の宇宙船とわかる物との遭遇ははじめてであった。火星の研究所は持ち帰られた音声情報をもとにただちに異星人の言語解読にとりくんだ。

 翌年、この異星人とのコンタクトに成功した。Netraxiというコウモリめいた種族であり、独自の宗教にもとづく神政共和国をコロニー連合の東側に建設していた。進出を企図していた方向に異星国家があったことに、科学執政局は少なからず動揺したが、今はまだ恒星間国家として日が浅く、争いを挑むことはできない。当面は、使節を派遣して関係の構築をはかることになった。

 その一方で、研究所に秘密の方針が与えられた。軍事技術の開発である。来たるべき星間戦争に備えて、科学者たちは動き始めた。

シリウス殖民


 2208年。待望の大型殖民船が完成した。「ミネルヴァ」号と名づけられたこの船は、新天地シリウスに向かって旅立つ。

 そして第3惑星は「デルファイ」と改名され、太陽系外の最初のコロニーが設立された。この星は深い湿原に覆われ、原生の野獣も棲みつく危険がある。入植者たちはミネルヴァ号を解体すると、最初の町を建設した。開拓すべき土地は広く、全土が人類のものになるには相当の時間がかかるだろう。だが、乾いた火星での苦闘の日々は終わったのである。

海賊の脅威


 2209年、デルファイ入植と軍事艦隊の整備を進めるコロニー連合に、危機が訪れた。サーガス星系に根拠地を築いた宇宙海賊の出現である。おそらく、火星都市国家から逃れた無法者たちが、ひそかに密輸と非合法取引でつくりあげたのであろう。その艦隊戦力はバカにならず、現在のコロニー連合艦隊と同等と目された。そして、海賊の視線はアルファ・ケンタウリ星系の採掘工場に向けられた。

 連合艦隊司令官のボー・シェン提督ひきいる4隻のコルベットは、救難信号を受けてアルファ・ケンタウリ星系に急行した。そこではすでに海賊艦隊が採掘工場へのミサイル攻撃をはじめていた。こうして、史上初の宇宙戦闘がたたかわれた。

 第1次アルファ・ケンタウリ海戦の結果は苦い勝利となった。海賊艦隊は全滅したが、建造されたばかりのコルベット2隻が沈没、残る2隻も大きな損害を受けたのである。この事実は科学執政局に新たな衝撃を与えた。以後、火星宇宙港のドックでは艦艇の建造が急ピッチですすめられることになる。人類の頭上に戦雲がたなびきはじめていた……