暗黒の世界、終結

VtM2

 とうとう予告の日がやってきました。ホワイトウルフ社が公式に十五年近く展開されてきた「World of Darkness」(暗黒の世界)シリーズを終結すると宣言した日です。
 思えば、最初にWoDと出会ったのは、当時まだ大学生だった私が、後輩のY君が持ってきたV:tM第2版のルールブックを見せたもらったときのことでした。大理石調のルールブックと、今まで見たこともないようなテーマを持ったこのゲームに一発で魅せられてしまい、その場で一週間貸してくれ、と彼に頼んだことを、まだ昨日のことのように覚えています。
 まずルールブックの読解にはじまり、私家訳をし始め、サークルでおっかなびっくりセッションを始め、会誌に紹介記事を書き(これが後の「月夜の森」につながりました)、次第次第にのめりこんでいきました。ルーンクエストと並んで、これほど没頭したTRPG架空世界は他にはなかったように思います。
 ホームページを立ち上げてからは、これを通して驚くほどいろいろな皆さんと出会うことができました。それまでサークル以外ではRPG活動をほとんどしていなかった私にとっては、とても新鮮な体験で、一気に世界が広がった思いがしました。もちろん、今でもメールやBlogコメントなどの形で、あるいはコミケの場で、同好の士の方々と歓談できるようになったのも、あのときV:tMに会っていなければなかったことだと素直に思えます。
 終わり頃には、世界を終息させようとするホワイトウルフ社の展開に、正直ついていけなくなってしまったのですが、それでも現代を舞台とし、怪物を主人公とする架空世界で、これほどの完成度とこれほどの多様性と混沌を持ち合わせている世界はありません。これからも、グローランサと並んで私にとっての二大ワールドとして愛好していくことになるでしょう。
 8月からは新WoDが始まる予定とのことです。これがどんな形のものになるかはまだよくわからないのですが、かつて米国のRPGシーンを二分したAD&DがD&D3eとなって装いも新たに展開しているように、WoDも斬新なアイデアを備えて再出発してくれることを希望してやみません。
 とにもかくにも、これほどまでに私の人生に食い込んできたWoDの化け物たちすべてに、心からの謝意を。ありがとう。