W:tF 父殺しと“没落”

W:tF公式:http://www.werewolftheforsaken.com/
今週でたぶん神話部分は一段落なのかなと。

狼の群れが狩りにしくじり、それが頭が指揮するにはあまりに弱く、あまりに遅く、あまりに盲いたためであったとき、何が起こるだろうか? パックは死に絶えるか、あるいは頭が交代しなければならない。この問いは、我らの父祖にとっても同じだった。だが、天秤にかけられたのは全世界だったのだ。次に起こったことはあってはならない凶行だった。だが、それは起こったのだ。
精霊には皆、禁忌がある。その本質そのものを統べる不壊の掟だ。苦痛の精霊は、生き物を癒すことを禁じられる。鮫の精霊は休むことを禁じられる。“父なる狼”は“創られたる世”の中で最も強大な精霊であったが、彼もまた禁忌を持っていた。彼は自らの務めにとても強いつながりを持っていたため、誰かが彼に代われるようになるまでは、目を閉じることを許されなかった。彼の禁忌はとても強かったため、彼に代われる者が彼に刃向かえば、彼は身を守ることができなかったのだ。
もちろん、“父なる狼”に代われる最適の者とは、彼自身の子どもたちだった。
さて、この時代の物語によれば、優位をめぐる通常の争いならば、“父なる狼”が子らに爪と牙をむくことができたことは明白だ。だが、もし“父なる狼”のパックが本気で彼を殺そうとしたのであれば、自らの本質そのもののせいで彼は無力になってしまうのだった。彼はそうした裏切りに対して能動的に自衛することができず、彼の厚い毛皮も強靱な筋肉も、雨風ほどにも助けとはならないのだった。つまり、“父なる狼”を倒す唯一の方法とは、とどめの一撃を振り下ろすことだった。
かくして我らは彼を殺した。
最後の息で、“父なる狼”は両界をゆるがす咆哮を放った。人類は、心に恐れを呼び起こすその音を聞いて泣きじゃくりながら地に伏した。精霊たちは、何ものかが偉大なる無慈悲な狼の精霊を殺したことへの恐怖に打たれ、巣の中でおびえてうずくまった。とどめの一撃を振り下ろしたワーウルフは、咆哮のすさまじい力と激情の重みによって即死したといわれている。恋人の死の咆哮を聞いたルナ自身は、苦悶と裏切りに叫び声をあげ、自らの産み落としたすべての子どもたちを呪った。その呪いは以後、決して完全に取り去られることはなかった。
そして、惑星そのものの魂が揺れ動いたという。“影の領域”の住人らと物質界の死すべき定めの生き物らが恐怖にひるんだまさにそのとき、二つの世界は分かたれた。大地は揺らぎ、嵐が陸地を洗った。氷が北方より解き放たれ、島々は海中に没した。パンゲアは滅んだ。“没落”の後、狩人たちの楽園は永久に失われたのだ。

父殺し。
確かに大罪です。しかし仔らは必要であると信じてこの所行におよんだのでしょう。その結果が、世界の崩壊と永遠の呪いだったとは(TT
さて…………ここで一頭のワーウルフが死んでいますね。あと8頭。