Galactic Civilizations宇宙の歴史

 公式サイトに載っているものを翻訳。初代も2も同じ歴史に沿っていて、時系列的には同時期に属しています。つまり、ゲームストーリー上では続編ではなく同じ話を扱っています。

人類以前

 何十万年も前、ホモ・サピエンス種族が地上を歩くよりも以前、二つの宇宙航行種族がいた。アーシアン帝国と邪悪なドレンギン帝国は探査機を銀河じゅうに送り出した。両国の間には、スターゲートと呼ばれる都市規模の装置が設置された。スターゲートを使えば、宇宙船は二つのゲート間に横たわる膨大な距離を渡ることができたのである。当初、ドレンギン族とアーシアン族はそれぞれこの巨大な装置を建設して、おたがいが交易できるようにした。
 ドレンギン族は、スターゲートを通ってアーシアンを侵略する絶好の機会を逃さなかった。狡猾さではドレンギン族に劣らないアーシアン族はドレンギン族の侵攻に対する備えを怠っていなかった。最初の侵略艦隊がスターゲートを通ると、彼らはゲートを閉鎖した。ドレンギン艦隊は母星から数千光年の彼方に囚われてしまったのである。アーシアン族はドレンギン族の侵略艦隊を撃滅した後、ドレンギン帝国へのスターゲートを二度と開かなかった。
 両文明は、やりとりできる他の文明を探した。アーシアン族はアルタリアン族と接触した。アーシアン族とは似ても似つかない種族だったが、非常に高度な文明を持っていた。アーシアン族ほど強大ではなかったものの、彼らもまた自力でスターゲートを制御できるほど発展していた。アーシアン族の助力を得て、アルタリアン族は自分のスターゲートを建設し、基本的な段階の交易が始まった。
 一方、ドレンギン族の探査機は、トーリアン族というかなり高度な異星文明と接触していた。アーシアン族との戦いで教訓を得たドレンギン族は、トーリアン族がスターゲートを建設する手助けをしなかった。かわりに、ドレンギン族はスターゲートを作って、無人のままトーリア星に送ったのである。スターゲートが目的地に着く前には七万年の歳月がかかった。人間の想像を絶するほど冷酷なドレンギン族は、同時に右に出る者がいないほど辛抱強い種族でもあった。スターゲートが到着すると、ドレンギン族の侵略艦隊はすばやくトーリア星を征服してそこの住族を奴隷化した。
 このころ、ドレンギン族とアーシアン族はヨール族と初めて接触した。ヨール族はアイコニアン族という絶滅したとおぼしき種族に創造された機械種族であった。生物学的には生きていないヨール族は、ひとりで動かす巨大な船に乗って銀河を探検した。皮肉なことに、ヨール族は年をとらないものの、エネルギーを補給するためには生物学に基づくエネルギー源、すなわち食物を利用するように設計されていた。歳月を経るにつれて、彼らもまたスターゲートの秘密を修得した。
 スターゲートの問題点は主に経済的なものだった。運用に必要とする電力量は莫大だったため、極めつけに価値の高い交易以外は割に合わなかったからである。このことが要因となってトーリア星は解放された。というのも、トーリアン族はトーリア星に補給を行うコストがいかに高いかを知ったからである。トーリアン族はこの点を活かしてゲリラ戦を戦い、やがてドレンギン族に惑星放棄を余儀なくさせた。ドレンギン族はトーリア星を支配する苦労に疲れ果てていたし、支配継続にかかるコストはあまりにも高すぎた。ドレンギン族が撤退したのは誇りや名誉のためではなく、冷酷な計算と緻密な計画にもとづくものだった。

人類の登場

 2117年、アーシアン族の探査機が地球に到着した。人類は比較的統合が進み、繁栄する惑星政府を樹立しており、核融合発電の開発のおかげで膨大なエネルギーの恩恵に浴していた。アーシアン族は核融合発電の価値を見て取った。なぜなら、他の分野で進歩していたにもかかわらず、このような高度なエネルギー形態を開発した種族は他にいなかったからである。そこでアーシアン族はすぐさま人類にスターゲートの設計図を譲った。
 アーシアン族のスターゲート設計図には、スターゲートを閉じる方法は記されていなかった。要するに、一度開いたら、人類にはそれを閉鎖するすべはないということだった。アーシアン人が地球を征服しようとしていたのかどうかは、今もわかっていない。しかし、スターゲートは結局建設されなかった。スターゲートの設計図は、宇宙空間の移動に関する無数の理論を証明するものだった。また、指導的な科学者たちは、スターゲートはその規模とコストゆえに制約を受けていることをはっきりと看破した。だが同時に、スターゲートの問題点はエネルギーの不足にあるとも結論づけた。それは、人類にとって問題にならない問題だったのである。
 地球全土の研究施設は、スターゲートがもたらした理論を用いて、新しい推進システムが開発可能であるとただちに結論づけた。そのシステムを載せた船は、スターゲートを通るよりもはるかに速く移動できるとのことだった。スターゲートを通る船は、比較的近距離であっても数ヶ月や数年を費やした。この新しい駆動システムによって相対速度が飛躍的に高まり、所要時間は半減するのであった。

ハイパードライブ

 新しい駆動システムはハイパードライブと呼ばれた。そして人類の歴史上、おそらくもっとも気前がよく、もっとも高くついた過ちだったのだが、無謀にも人類は核融合発電やハイパードライブの秘密を保全しなかったのである。政治家と活動家たちは、ほぼ無限のエネルギーは「人間」の権利であると考えた。核融合発電は貧困をはじめ人類についてまわったさまざまな弱点をほとんど根絶した。エネルギーをふんだんに使えるようになったため、食料生産、工業生産、運輸のコストははるかに安価になった。他の種族と核融合技術を分け合うのは、「人間的」な行いだと思えたのである。ハイパードライブは、かつてスターゲートで理解されていた機構を核融合発電と組み合わせたものからそう離れてはいないものだったため、六大種族は皆、まもなくハイパードライブを持つに至った。

競争

 人類は、ハイパードライブは銀河規模の理想郷ではなく、銀河規模の競争を生み出したことに衝撃を受けた。どの種族もおたがいの連絡を絶って(スターゲートを除去して)、できるだけ早く移民船を建造すると、なだれをうって銀河に乗り出し、星々を手に入れ始めたのである。人類にとって不運なことに、異星人たちは長い歳月をかけて銀河の星図を作っていたため、どこに優れた惑星があるかを心得ていた。同じ頃、人類はめくらめっぽうに探検と植民を行わなければならなかったのにである。2178年、人類は最初の移民船を送り出した。
 始まったレースは植民競争だけではなかった。銀河の技術バランスは何十万年にもわたって非常に安定した状態を保っていたが、人類との接触がすべてを変えてしまった。人類は莫大なエネルギーを生み出す技術とともに、惑星全土にわたるマスコミュニケーションという概念ももたらした。他の文明は統一を果たして久しかったため、地球ほど急速に通信技術を進歩させてはこなかった。この二つの要因によって技術競争が加速されたのである。
 植民競争でおくれをとった人類だったが、技術面では優位を保った。人類は必要とあらば無謀とも思える行為に邁進した上、より古い種族に急速に追いつくことで独自の狡猾さを備えていることも銀河に示した。

アルタリアン族の予言

 人類とアルタリアン族との接触は相当な衝撃をもたらした。アルタリアン族と人類はほとんど見分けがつかないほど似ており、DNAのテストでも彼らが同一種族であることが示された。アルタリアン族は非常に信仰を重んじる種族で、彼らの大司祭は十万年前にあらわされた予言を読み上げた。それは、いつの日かアルタリアン族は従兄弟らと出会い、彼らの内にアルタリアン族の起源を知ることになるだろうというものであった。それはまた、アルタリアン族がミスリラールと呼ばれる強大な存在の干渉の結果生まれたが、人類はそうではないこと(つまり自然に生まれたということ)を示唆していた。このミスリラールは、自分に似せてもうひとつの種族を創ったとされている。それが絶滅したと思われるアルノール族である。
 人類とアルタリアン族は共通の特徴を備えていることを知って、信頼と友好的な外交関係を樹立した。この友好は、傭兵稼業で急速に強大化した群小種族のひとつコークス族が、アルタリアン族の諸世界を侵略し始めたときに役立った。やがて、この事件の黒幕が、ドラース族という謎の文明であることがわかった。ドラース族はアルタリア星の原住民であり、アルタリアン族の勃興によって故郷を追い出されたのである。しかし、ドラース族によれば、彼らは母星を旅立ったのではなく(当時、宇宙移動技術は持っていなかった)、「ミスリラール」の末裔によって遠方の世界に移送されたのだという。
 人類のアナリストの大半は、ドラース族の話全体に疑念を持っている。この筋書きはあまりにも「サイエンス・フィクション」的なストーリーだからである。ドラース族は、他の文明と同様に、単に自分の攻撃的な態度を正当化しようとしているだけなのだった。そして23世紀が始まる頃には、これらはすべて歴史の中に埋もれ去っていたのである。

ドレンギン帝国の脅威

 歴史の浅い人類の軍事力が増大したことは、ドレンギン帝国の注意を引かずにはいなかった。ドレンギン帝国はハイパードライブをうまく利用して、広大な恒星間帝国を築き上げていた。また、彼らは「先住種族」ととりあえず名付けられた文明の証拠に時折、遭遇していた。先住種族が、銀河に散らばる可住世界のほとんどに住んでいたこと(そしておそらくはテラフォーミングを行っていたこと)は明白だった。しかし彼らは遠い昔に銀河から消え去っていたのである。
 2220年頃には、ドレンギン族は人類が脅威であると判断していた。彼らの見るところ、人類は連合勢力を築こうとしていたからである。ドレンギン族は、劣等種族どもが一致団結して立ち向かってくれば、単独では対抗できないことを悟っていた。攻撃の機は熟していたが、それにはまずアーシアン帝国を打倒する必要があった。古い歴史を持つ戦闘種族アーシアン族は無視できない相手だったのである。人類はアーシアン族と友好関係を結ぶことで、ドレンギン帝国によって人類・アルタリアン同盟が粉砕されるのを黙って見過ごす気はないことを示した。

銀河大戦

 2225年、ドレンギン族はアーシアン帝国に大規模な奇襲攻撃をかけて、壊滅的な被害を与えた。これに対し人類はアーシアン族を守ろうと、他の種族に団結をはたらきかけ始めた。人類はその外交技術を試されることになったのである。
 しかし、はるかに悪しきものがどこかで待ち受けていることを、まだ誰も知らない…………。