VtR第1章覚書(2)

血族社会の地位:

  • 公子(Prince):版図の王。掟の遵守と法の執行を行う。ランケア・サンクトゥム盟約の公子は“大司教”(Archbishop)と名乗ることが多い。
  • 家令(Senechal):公子への拝謁の取り次ぎ役。宴席での席順や接待の内容などを実際に手配する責任者であり、公子以上に版図の血族事情を知っていることもままある。
  • 伝令(Herald):公子の布告を版図内の血族にしらしめることを任務とする。小さい版図では家令が兼務することもしばしば。
  • 参議(Primogen):版図内の有力者がつとめる公子の顧問役。有力盟約や氏族の代表者であることも多く、時として版図の真の実力者である。
  • 宮廷雀(Harpy):血族社会の“エリート層”であり、彼らの流布する評判や噂が、血族や血族社会のパワーバランスを左右することは多い。
  • 警吏(Sheriff):版図内の治安維持を公子の名のもとに行う司法官。時として判事と処刑人を兼ねることすらある。
  • 猟犬(Hound):公子の命令によって動く荒事師。非公式な処断や脅迫、暗殺を役目とする。
  • エリュシオン管理人(Master of Elysium):エリュシオンの中立性とその中での円滑な社交に責任を持つ役職。
  • 摂政(Regent):大きな版図の場合、公子が有力な血族または自分の子飼いの血族に、一定の地区(または社会分野)を分封することで統治させることがある。こうした役職を「摂政」と呼び、自分の管轄する地区や分野内では公子と同様の権限を振るうことができる。

血族社会の略史:

  • 古代ローマ時代にカマリリャが単一組織としてヨーロッパの血族を統合していた。しかし帝国の崩壊とともに資産が失われ、カマリリャも瓦解。
  • 中世暗黒時代、血族の政治的指導組織となったインヴィクタス(不屈党)と精神的な支柱となったランケア・サンクトゥム(聖なる槍)が同盟を結び、血族社会の二本の柱として君臨するに至った。
  • 一方、キリスト教に反発する辺境の土俗宗教圏では、“老婆の輪”盟約がさまざまな異教の血族を取り込んでいくことで、二大盟約の伸張に対抗した。
  • 15世紀または16世紀ごろには、東欧から父を持たぬと称する血族、ドラキュラによって、血族の超越思想を奉じる隠秘的な修道会オルド・ドラクルが成立した。ヴァンパイアの弱点を克服するその秘儀は多くの血族を引き寄せ、“竜の修道会”は有力な盟約へとのしあがった。
  • 18世紀になると、封建的で旧態然とした長老支配に異を唱える運動が、若手血族の間からわきあがった。こうして新世界を中心にカルシアン運動が成立した。
  • かくして五大盟約の綱引きが続き、現代に至る。

アゴニステス派(Agonistes):過去の出来事を逐一記述し、休眠による記憶の混乱にも耐えて血族の歴史を残そうとする一派。長老の中には、彼らを召喚して自分の回想録を書かせる者もいる。

モイライ(Moirai):謎の血脈。休眠によっても記憶を乱されることなく、過去の出来事を正確に覚えており、かつ現在や未来のことについて予言することができるという伝説上の古き血脈。メケト起源ともいわれるが、正確なところは全く不明。過去において迫害を受けたらしく、現在では目撃されたことはない。

三条の掟:

  • 第一の掟:仮面舞踏会
    • 汝、血の繋がらざる者に己が真の性を明かすべからず。これを為せば汝の血の権利は断ち切られん。
  • 第二の掟:継嗣
    • 父たらんとするならば、汝と汝が継嗣の責においてなせ。汝が子をなしたれば、その責は汝が負うべきものなり。
  • 第三の掟:不凋花
    • 同族の心血を貪るを禁ず。この戒を破らば“獣”が汝自身の血を招くであろう。

三つの重要慣習:

  • 版図(Domain)
  • 後見(Tutelage)
  • 表敬(Deference)