Fireborn カルマ

 カルマ(karma)は、かつて神代には世界に充満していた超自然的な力の流れのことである。氣やマナと呼ばれることもある魔法の源泉である。
 ドラゴンなどの超自然存在と人間や動植物などの自然存在との違いは、カルマとの関係にある。超自然的な生き物は、その存在自体がカルマで織りなされている。カルマが実体化して意識を持ったものが超自然存在だと言い換えることもできるだろう。彼らは周囲のカルマを間断なく取り込んで生存する。
 一方、人間や動植物はカルマを生み出す存在である。彼らのさまざまな感情のエネルギーがカルマを生み出し、世界に循環させる。ちょうど植物が光合成によって酸素を吐き出すようにである。
 特に人間は他の動植物にくらべて圧倒的に生み出すカルマが多い。それゆえ、神代にはドラゴンやティタンらは人間と深く関わることで種族の存続をはかったのである。
 神代の終焉とともにカルマはこの世界からいずこかへと流出してしまい、以後の世界からは魔法が失われてしまった。大地殻変動による破壊も超自然存在の滅亡の一因ではあったが、何よりもカルマが極めて希薄になった世界では、もはやカルマそのものでできているドラゴンらは生存が不可能だったのである。ドラゴンの肉体は滅び、その不朽の魂のみが、人間に転生することで生きながらえたのだ。
 そして21世紀初頭、なんらかの理由でカルマの流れが世界に復活した。このカルマの波動に刺激され、それまで永劫の眠りについたまま転生を繰り返していたドラゴンの魂は覚醒をはじめた。それがサイオンの生まれた経緯なのである。