アローン連合の小部族(1)

 Zin Letters #3で特集されている東部ファーポイントについて覚書。
 1611年にファーポイント地方を揺るがした「正しき風の反乱」は、アルダチュール市のルナー属領地軍と協力したヴァンタロス族の“鉄拳”ハーヴァーによって粉砕されました。戦後処理によって父祖の地を追われたトレス族、アマド族、バハッド族は、東の奥地、トロウルが棲む藍の山脈の麓にひろがる人跡未踏の原生森林に分け入りました。
 森の北部は隠しの谷(Hidden Vale)、南部はトカゲ森(Lizardwood Wild)と呼ばれていますが、隠しの谷の開けた土地にアローンの街があります。三部族はこの街を寄合場としてアローン連合を結成しました。各部族の位置は、アローンの西にトレス族、東にアマド族、南にバハッド族、となっています。連合は、北でハーヴァーに屈服したトヴタロス族、南東で暗黒を奉じるトーカニ族と隣接しています。また、森を南に超えると、太陽信仰の強い平原のディナコリ族と、プラックスに通じるパヴィス街道に接しています。
 反乱で打撃を受け、構成氏族が滅んだり離散したりした三部族ですが、森の原住民や離散氏族を再結集して、新天地での新しい共同体をつくりあげようとしています。その一方で、イェルマリオ信仰に代表されるペローリア流の太陽信仰が強まるアルダチュール周辺の人々に対抗して、伝統的な嵐と精霊の信仰を護ろうとしています。伝統を守るために、新天地を切り開くというジレンマを抱えながら、アローン連合の民は苛酷な開拓生活を送っています。
(続く)