21世紀

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 2032年、最初の「グリッド」(映話まで可能な高度インターネット)が全世界を覆う。巨大企業の躍進。旗頭はマイクロテル社、軍需産業オンティス・オードナンス社。
 超能力の発見。この時代ではまだ世間的には認知されておらず、超能力者もごく少数しかいない。
 六大ブロックの形成:全米合衆国、欧州連合、アジア連邦、マイクロテル社領、太平洋ブロック、インド・アフリカ連盟。
 2047年11月9日、スペンナー・ミンダラ核融合機関の技術情報がグリッドで公開され、核融合時代が始まる。空前の技術革新と生活向上が実現し、宇宙開発が爆発的な勢いで再開される。2064年、太平洋ブロックが世界初の恒久的な月面基地を建設。21世紀末には、全米合衆国がカリスト木星圏初のコロニーを建設。続く数十年の間に百にもおよぶ宇宙基地が次々と建設される。
 医学と生物工学の発達によって、癌や伝染病が克服され、クローン技術、サイバネティクス技術が民間レベルにまで普及を実現する。人間の最長寿命が150年にまで延長される。
 2091年、マイクロテル社の宇宙開発部門としてヴォイドコープ社が創設される。2089年、軍需産業の巨人オンティス・オードナンス社とオーストリン・アームズ社が合併。
 2106年、インド・アフリカ連盟が、新発見のダークマター“デュオデキム”(非バリオンのエキゾチック物質)を利用した物質反応炉をはじめて実用化。核融合炉に取って代わる。しかし、核融合炉がエネルギー危機を解決したのと対照的に、莫大なエネルギーをもたらす物質反応炉は新たな火種を人類にまくことになった。
 物質反応炉によって、太陽系開発が劇的に進行し、続く四十年間で、六超大国によって太陽系は水星からオールトの雲に至るまで、事実上分割される。それに並行して人類ははじめて宇宙戦争を経験することになる(いずれも数日で終わる短期間のものだったが)。が、この時点では恒星間航行はまだ夢の夢だった。