地球帝国

 2241年の時点で、地球の超大国は百以上の星系を支配下に置いていた。そして長大に過ぎる距離のために、宗主国による植民星支配は弱体化していった。やがて植民星は税の見返りに自治権を獲得するようになっていく。
 2243年、ボレアリス共和国は地球上から惑星サファイアに首都を移転。恒星間商業ギルドを前進とするリグンモア星間協商は惑星バザールを根拠地として勢力を拡大。オーストリン・オンティス社は惑星パウダーに本社を移転。ヴォイドコープ社は惑星カタログに移転。こうして地球を離れた有力組織が後の星間国家となる。
 2246年、オーラム神政国(オーラム財団の後身)が、巨体と怪力を持つウェレン人とファースト・コンタクト。オーラムは独自に彼らと交渉して、完全な市民権を与える。地球の超大国は事後承認する他無かった。
 2250年、地球帝国の創設が宣言される。すでに広大な宇宙に生活圏の大半を移してしまった人類とフラール人にとって、地球は遠い存在であり、帝国議会の宗主づらは、増大する税とあいまって、植民星にとっては迷惑なものとなっていった。地球と植民星との亀裂は深まっていく。
 2263年、サルダン植民政府の成立。人類統一の夢に燃えるカリスマ的独裁者グレゴール・ケントによって建国されたこの国家の成立が、宇宙のパワー・バランスを大きく変えた。数多くの賛同者を得たサルダン国は軍事的・経済的に急速な成長を遂げ、宇宙の一大勢力になりおおせた。
 2267年、峻厳な惑星ナリアではナリア領国が成立。
 2271年、技術排斥主義者のハタイア同胞団が新たな惑星に植民し、外界との連絡を一切絶つ。
 2273年、リグンモア星間協商が、新たな異星人、メカラス人とファースト・コンタクト。協商は彼らと平和的に交渉し、自国民として引き入れた。
 2274年、ヴォイドコープ社は、惑星シェイヤにて原始的なセシェイヤ人とファースト・コンタクト。現在に至る隷属状態を彼らに強いる。地球をはじめ植民各国はこの条約を非難するが、結局既成事実化してしまう。