セッションレポ:ヒーロークエスト「灌木の子と大地の甥」

 時は海の季。雪解け水とともに農作業が忙しい時期になったカロサリ氏族(ケルドン部族の一)*1が舞台。氏族で有望な若衆であるPCは、畑作に出たり、森で獣をとったり、ルナーの徴税官を弁舌でしりぞけたりと忙しい。
 ある雨の日、祖霊とヘラー神のお告げのとおり、氏族に災いが下る。突然あらゆるものの体が重くなってしまったのだ。何の仕事もできず困り果てた氏族の者たちは、大地の寺院で古老の伝承をたずねる。するとこれは氏族の古くからの敵である“大地の甥”という地底の神のしわざであるという。父の“地底の大王”*2に贈り物をするため、怪力で地上のものを引き寄せているというのだ。

第一の留:出立

 かつて神代に同じことが起き、氏族の英雄“灌木の子”が地界に降りて“大地の甥”を組み伏せたという故事にならい、PCは大地の寺院から神界にヒーロークエストに出かけることになった。ここでPCが自分がクエストの任にあたりたいということを氏族の長老たちに印象づけようと自慢の能力でうったえることになったので、集団即時対決で解決。僅差の敗北ということになったので、Costly successの指針にしたがって、クエストは任されたが共同体支援によるボーナスが減少するという裁定にした。
 PCは神話でかたられたように“火苺のかご”をもち、主役“灌木の子”を担当するジャックの剣と鎖帷子にはそれぞれ英雄の武具の見立てが行われた。また、氏族の者らの髪の毛を一本ずつ分けてもらってなった強い縄が提供された。

第二の留:魔女の洞窟

 大暗黒の神界についたPCはまず“大地の甥”の居場所を知っているとおぼしき“大地の魔女”こと女神アズリーリアの洞穴を探す。狩人のサイラスがめざとく重さによって沈んでいない足跡を発見したが、道筋を追うのに時間がかかったため、かごの火苺が傷んでしまった。そこでセレノルが料理の魔術を用いて苺のジャムをつくりだした。

第三の留:大地の魔女

 アズリーリアの洞穴には大暗黒の間しまっておく大地の宝物が無数にあった。指輪や首飾りをじゃらじゃらいわせる大地の婆様がPCを食事で歓待しようとするが、ジャックはそれを断って“大地の甥”の居場所についてたずねた。セレノルは苺ジャムの贈り物で女神をよろこばせた。結果、彼の家にいたる道程は判明したが、神話で“灌木の子”が聞き出した彼の弱点までは教えてもらえなかった。

第四の留:予期せぬ遭遇(ヒーロークエスト・サプライズ)

 神話に詳しく語られていない地底行の途中、PCは大きなクレバスの前で立ち往生しているドワーフの一団に出会った。ドワーフらは「地底魔術探検隊」*3と名乗り、クレバスにかかっていた吊り橋が“大理石ネズミ”のせいで落ちてしまっていることに憤慨していた。橋ははたして向こう岸にたれさがってしまっている。そこで射手サイラスが髪の縄を矢に結びつけ、必中の呪文とともに橋に放つと、矢を錨のようにして橋をひきあげた。

第五の留:大地の甥の館

 やがてPCは大きな空間にお椀状の巨大な館がある場所にやってきた。ここが目的の“大地の甥”の家である。館の中からは宴たけなわの笑い声が聞こえてくる。しばらく様子をうかがった後、意を決してジャックとカルランが真正面から宴の席に入り、カルランは家主の歓待を求めた。おおぜいの家臣の前で面目を失いたくない“大地の甥”(赤銅色の肌をした巨漢)はしぶしぶPCらを客人として宴席に加わらせた。
 セレノルが給仕女のニンフから“大地の甥”の弱点(土踏まず)を聞き出す一方、ジャックは神に競走しないかと挑戦した*4。ジャックが敗れれば神の家来となる。神が敗れれば氏族の者たちを解放するという約束がかわされた。さらに土踏まずがあらわになるように弁舌がふるわれ、キノコの森が勝負の舞台になった。ブラック・エルフらが興味深そうに見守る中で両者は走り、サイラスのひそかな矢に土踏まずの弱みをつかれた“大地の甥”は敗れた。
 かくして約束のとおり“大地の甥”は地上の者たちを解放し、PCとともにもう一度宴を張り直した。

第六の留:帰還

 PCは“大地の甥”からの土産をもらって帰途についた。セレノルは口説き落とした大地のニンフを嫁取りして連れ帰った。サイラスは魔法の弓矢を手に入れた。地上に帰り着くと、それは今まさに太陽が昇ろうとしている「曙」であった。PCは村に戻ってクエストは完了した。

*1:ぴろき自作。HQ1準拠なのでネームNPCのカルトが細かすぎ。あとなぜかヘラー信仰が強い。戦の群の長が黒山羊エレルサロル信者とか。

*2:ロウドリル

*3:黄金ドワーフと鉄ドワーフ

*4:神話では格闘したと語られている。