帝国vs蛮族

 GURPS:Interstellar Wars第1章より、第一帝国の概要説明冒頭。

 紀元前4000年、テラにはまだ文明は存在しなかった。少数の恵まれた地域で定住農業が始まったばかりだった。惑星上の最大の町には、千にも満たない住民が暮らしていた。シュメールの神秘主義的な都市国家、ピラミッドを築いたエジプト王国、そして半ば伝説上の殷王朝は、すべてまだ何百年も後の時代のものだった。
 紀元前4000年、ヴィラニ人として知られる人類はすでにジャンプ・ドライブを開発して、銀河の探検にいそしんでいた。エジプトがピラミッドを築いたとき、ヴィラニ人は恒星間植民地を築いていた。ギリシャ人が盾と鉄製の槍の戦術を洗練していたとき、ヴィラニ人は銀河じゅうに征服戦争をしかけていた。ローマが興亡する間、ヴィラニ人は一万の世界にわたる恒星間帝国を建国していた。その帝国はジル・シルカといった。すなわち「星々の大帝国」、またの名をヴィラニ帝国。そして今も存続している。テラン人文明にとって究極の試練をもたらしているのである。

 こうダイレクトに比較されるとかなり凄いもんがありますな。太古種族も何を考えていたのやら。地球が何千年も未発見だったあたり、何か作為的なものがあるとしか思えんのですが……。

 んで地球のほう。

 「恒星間戦争」の時代の大部分において、テラとテラン人支配下の諸世界は、単一の政体である地球連合のもとにあった。地球連合は旧い国際連合の組織から生まれた。国連の歴史は、国家間の討議を行うための無力に近いフォーラムとして始まった。数十年の間、真の権力は分裂したテラの国民国家のもとにあり続けていたからである。しかし、21世紀が進むにつれて、一連の地球規模の危機が、最強の国家ですら緊密な協力関係なしには対処不可能であることを証明した。ほぼいつでもそうであったように、不完全で不人気な国連は、国家間の争議をいつでも解決し、文明を維持するための協力体制をもたらすことができる立場にいる唯一の地球規模の組織だった。
 21世紀末までには、国連は数回の改革を経て、世界政府として機能していた。世界の国民国家はまだ存在していたが、権力の中心は国連へと移っていたのである。どんな形であれ独自の政策を追求できるのは最強の国々だけになっていた。もっと小さな国々については、国家主権は王権神授説と同じくらい滅んだものとなっていた。国連は幅広い層から嫌われていたが、有効な代案を提示できるテラン人はわずかだったので、テラン人文明の安定は国連の統治にゆだねられるようになったのである。
 第一次恒星間戦争の惨禍を受けた後、国連は再び改革と組織再編を行い、はじめて外世界の植民地からの代表団を受け入れた。地球連合と改称されたこの新たな政治機構は、以降の恒星間戦争時代を通して指導力を発揮した。恒星間戦争時代の末期には、地球連合は数千もの居住世界に不安定な支配を及ぼすに至る。
 地球連合は、テラン人文明に表面上の社会的、政治的統一をもたらしている。依然として、その全盛期にあってすら、地球連合が完全にひとつにまとまることはない。数多くの重大な分裂が存在した。大国や小国の間の、母星テラと植民地の間の、そしてテラン人が支配する世界とヴィラニ帝国の征服下にあった世界との間のである。

 ということで、地球連合の組織は基本的に今の国連の発展型ですね。トップは事務総長のままですし。今回の「G:IW」では後世のソロマニ連合が、地球連合の組織を模倣しているという捉え方で設定を作っているようですね*1

*1:ソロマニ連合の首長もSecretary-General=事務総長。でも書記長とも訳せるんだよな……。