鼠衛士の冒険(1)

Mouse Guard Roleplaying Game

Mouse Guard Roleplaying Game

 今年のオリジン賞RPG部門を制した「Mouse Guard Roleplaying Game」を英アマゾン経由で入手しました。原作は作者のRPGキャンペーンをもとにしたコミックだそうです。ホームページはこちらhttp://www.mouseguard.net/)。「Characters」のページに世界の雰囲気がわかるイラストが載っています。
 全部で320ページの大部に見えますが、正方形の変型判な上、行間が詰まった文章ではないので割とさくさく読めます(判のせいかスカスカというわけではない)。そういうわけで、ぼつぼつ読んでいく上での覚書を記していく所存。
 ちなみに、この世界の鼠は本能と知性を併せ持った存在で、中世西欧レベルの文化を備えています。宿敵であるイタチも知性を備えています。しかし、その他の狼などの肉食動物をはじめ蟹や蝙蝠といった動物たちは、私たちの世界の同類と同じ程度の存在のようです。

第一章:季の巡りの軸

死とは、強き武器でもあり、また安易な逃げでもある。
英雄は伝説となり、伝説は神話となり、神話が新たな英雄の糧となるのだ。
――記録にある衛士隊筆頭“黒斧”の最後の言葉

 概要の解説部分。本書の使い方とRPGの概説、それから行為判定の基本が掲載されています。
 GM+PL2〜6人が、2〜4時間のセッションを6〜8回行うキャンペーンを1ゲームと想定しています。1ゲーム=ゲーム内の1年で、1年は春夏秋冬と巡ります。
 使用するダイスは6面体を約10個。各PLは鼠衛士(guardmouse)と呼ばれるキャラクターを1人ずつ担当し、GMがそれ以外のキャラクターや場面描写などを担当します。
 行為判定は、ダイスを振って、4以上の目を成功と数えます。3以下の目はcowardと呼ばれ、失敗扱いです。指定された個数の成功を出せば判定達成。判定への修正としては、判定達成後に加わる追加成功数(Little S:追加2成功なら+2sと表記)と、振れるダイスの個数増減(+1Dや-2Dなど)があります。また、場合によっては必要成功数との差分である成功度、失敗度(margin of success,failure)を出すこともあります。

第二章:鼠衛士隊

巧みなる者を称えよ
どの鼠にも能あり、どの鼠にも志あり。
なれど克つは衛士隊なり。
――鼠の箴言

 鼠衛士隊の歴史と概要解説部分。
 この世界の鼠が暮らす領域を「なわばり」(Territories)と呼びます。この北岸から海が広がっています。北東には「曠野」(Wild Country)と呼ばれる狼等肉食獣をはじめさまざまな危険が(鼠から見て)野放しになっている領域が広がり、逆方向の南西には「闇ヶ原」(Darkheather)というイタチの王国が横たわって鼠のなわばりを虎視眈々とうかがっています。
 もともと、鼠たちは危険な原野の中でばらばらに思い思いの場所で暮らしていました。天災や肉食獣の来襲になすすべもなく不安な生活を送っていました。そうした生活に安定をもたらそうとしたのがロックヘイブン(Lockhaven)と呼ばれる岩塊に刻まれ蔦に覆われた村の鼠たちでした。彼らは周辺の土地に勇敢に出かけて行って道を切り開き、肉食獣を追い払い、迷える者を案内して、小規模ながら平安な土地を築きました。やがて、この話を聞きつけた鼠たちはロックヘイブンに集まり、この村は大きくなっていきました。しかし、自分たちの集落から出ようとしない鼠たちも少なくありませんでした。
 そこで、ロックヘイブンの鼠たちは相談の末、自発的に原野におもむき、他の集落の不安をとりのぞくためのボランティア組織をつくりました。これが鼠衛士隊です。その本部となったロックヘイブンはやがて町というより城塞となり、衛士隊の総長(Matriarch:初代以来メスが就任の慣例)のもと、「なわばり」全体の平穏のために活動するようになりました。
 こうして、それぞれの集落の間をつなぐ街道や原野では、鼠衛士隊が指導者であり法となりました。もちろん各集落ではそれぞれの村の掟に衛士もしたがわねばなりません。いかに優秀で強靭な衛士隊といえども、「なわばり」の村々の協力がなければ無力だからです。

(続く)